諸子百家争鳴 - 中国古典思想の世界 - 論語/孔子/孟子/大学/中庸/荀子/老子/荘子/列子/韓非子/孫子/墨子/史記
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 ■韓非子(かんぴし) 20巻55篇 106,131字
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 韓非子(かんぴし) - 生没年:前280? - 前233 姓:韓 名:非 出身地:韓国
 法家の代表的人物であり、戦国時代末期 韓の諸公子。李斯らとともに荀子に学んだといわれる。
 祖国の衰退を憂い、しばしば献策したが容れられなかった。これは生来の吃音が原因だったともいう。
 その著作に感銘した秦王政(始皇帝)に招かれるも、李斯らの讒言に遭い獄中で服毒自殺させられた。
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 『韓非子(1)~(4)』 韓非/金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 中国古代の法家思想の大成者とされる戦国末期の思想家韓非とその継承者の論著の集成。
 人間とは自分の利益を追求する存在であるという非情な人間観から、歯切れのよい文章で、
 法律・刑罰を政治の基礎だと説いてゆく。秦の始皇帝の法律万能の思想こそ、法家思想であった。
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■韓非子(かんぴし) - 生没年:前280? - 前233 姓:韓 名:非 出身地:韓国 …
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法家の代表的人物であり、戦国時代末期 韓の諸公子。李斯らとともに荀子に学んだといわれる。
祖国の衰退を憂い、しばしば献策したが容れられなかった。これは生来の吃音が原因だったともいう。
その著作に感銘した秦王政(始皇帝)に招かれるも、李斯らの讒言に遭い獄中で服毒自殺させられた。

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■『韓非子』について …
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『韓非子』(20巻55篇)は戦国末期、韓の韓非の著(「初見秦」「存韓」などは後人の手による)。
商鞅の「法」、申不害の「術」、慎到の「勢」など、先達の学を統合し、法家思想を大成した。
彼の刑名法術の学は、時勢に合った即効性のあるもので、集権により君主の威信を回復して
姦臣を退けて賢人を挙げ、貴賎上下の隔てなく法令を厳格に守ることの重要性を説いた。
反面、徹底した信賞必罰主義の結果、残忍酷薄に陥った点も多く、その主張は痛烈である。

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■本頁について
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『韓非子』 55篇(岩波文庫版は313章)のすべてについて、各章の概要・重要文句を抄出した。
各篇の章立て・書き下し・注釈は、『韓非子(全四冊)』(韓非/金谷治/岩波文庫)による。
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※本頁は上記本の補助的な目次・ガイドを目指し作成しています。現代語訳や注釈等は訳本をご確認ください。

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■韓非子(かんぴし) 20巻55篇313章 106,131字
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[岩波文庫 第一冊]
01 初見秦篇(しょけんしん) - 初めて秦に見(まみ)ゆ (秦王政に見えた際に語った言葉であるというが、時代が合わず、後人の付加した篇とされる)
├01 臣聞く - 知らずして言うは不智、知りながら言わざるは不忠。
├― 乱を以て治を攻むる者は亡び、邪を以て正を攻むる者は亡び、逆を以て順を攻むる者は亡ぶ。
└― 戦戦栗栗(せんせんりつりつ)、日に一日を慎しめ、苟(まこと)に其の道を慎しめば、天下を有(たも)つべし。

02 存韓篇(そんかん) - 韓を存す (韓非が韓侵攻の中止を説く章と李斯の言行の章とに分かれる。いずれも韓非の著としては疑わしい)
├01 韓は秦に事(つか)うること三十余年、出でては則ち扞蔽(かんぺい)と為り、入りては則ち蓆薦(せきせん)と為る。
├02 李斯の上書 - 秦の韓有るは、人の腹心の病有るが若(ごと)きなり。
└03 李斯、韓へ赴く - 脣亡べば則ち歯寒し。

03 難言篇(なんげん) - 言うを難(はばか)る (論説の困難な理由を列挙し、誤解された賢人の名を挙げる)
└01 愚者には説き難きなり。故に君子は言うを難(はばか)るなり。

04 愛臣篇(あいしん) - 愛する臣 (重臣に対する君主の備えを説く)
└01 諸侯の博大なるは天子の害なり、群臣の太(はなは)だ富むは君主の敗なり。

05 主道篇(しゅどう) - 主の道 (君主の守るべき道。『老子』と関係深く、虚静無為で自ら隠蔽することを説く)
├01 道は万物の始め、是非の紀(のり)なり。
├― 言有る者は自ら名を為し、事有る者は自ら形を為す。形名参同して、君は乃ち事無く、其の情に帰す。形名参同
├― 君は其の欲する所を見(あら)わすこと無かれ。君、其の欲する所を見わせば、臣は将(必)ず自ら雕琢せん。
├02 道は見るべからざるに在り、用は知るべからざるに在り。
├03 人主の道は、静退(せいたい)以て宝と為す。
└04 明君は賞を偷(かりそ)めにする無く、罰を赦す無し。

06 有度篇(ゆうど) - 度を有(たも)つ (国家の政治について法度を厳重にたてよと説く)
├01 法を奉ずる者強ければ、則ち国強く、法を奉ずる者弱ければ、則ち国弱し。 (中略)亡国の廷には人無し。
├02 貴賤は相い踰(こ)えず、愚智は提衡(ていこう)して立つ。治の至りなり。
├03 己れの能を舍てて、法数に因りて賞罰を審らかにす。先王の守る所の要なり。
├04 明主は、其の群臣をして意を法の外に遊ばさず、恵を法の内に為さざらしめ、動くこと法に非ざること無し。
└― 法は貴きに阿(おもね)らず、繩は曲がれるに撓(たわ)まず。

07 二柄篇(にへい) - 二つの柄(え) (君主のとるべき権柄、刑〔罰〕と徳〔賞〕の重要性を説く)
├01 明主の導(因)りて其の臣を制する所の者は二柄のみ。二柄とは刑と徳なり。
├― 虎の能(よ)く狗(いぬ)を服する所以の者は、爪牙なり。
├02 韓昭侯、酔いて寝ぬ - 典冠の者、君の寒きを見て、故に衣を君の上に加う。 (中略)官を侵すの害は寒きより甚だし。 →侵官之害
└03 好みを去り悪(にく)みを去れば、群臣は素を見(あら)わす。群臣素を見わせば、則ち人君は蔽われず。

08 揚傕篇(ようかく) - 傕(あらまし)を揚げる *揚権篇とも (君主の心がけの大略を述べる)
├01 一を用うるの道は、名を以て首と為す。名正しければ物定まり、名倚(かたよ)れば物徙(うつ)る。
├― 上は名を以てこれを挙げ、其の名を知らざれば、復た其の形を脩む。形名参同して、其の生ずる所を用う。 →形名参同
├02 道は双(なら)ぶ無し、故に一と曰う。
├― 君臣は道を同じくせず、下は名を以て禱(求)め、君は其の名を操(と)り、臣は其の形を效(いた)し、形名参同して上下和調す。 →形名参同
├03 聴の道は、其の出だす所を以(よ)りて、反りて以てこれが入と為す。
├04 治の極は、下は得ること能わず。刑名を周合すれば、民は乃(すなわ)ち職を守る。
├― 人を富ます毋(な)かれ、而(汝)焉(これ)に貸らん、人を貴くする毋かれ、而焉れに逼(せま)られん。
├05 度量の立つは、主の宝なり。党与の具(そな)わるは、臣の宝なり。
├06 一家二貴ならば、事乃(すなわ)ち功無く、夫妻、政を持すれば、子は適従する無し。
└07 人君為る者は、数々(しばしば)其の木を披(ひら)き、木の枝をして扶疏(ふそ)ならしむる毋(な)かれ。

09 八姦篇(はちかん) - 八つの姦 (臣下が君権を侵害する八つの方法と、それを防ぐ方法を説く)
├01 人臣の道(よ)りて姦を成す所の者は、八術有り。 同牀、在旁、父兄、養殃、民萌、流行、威強、四方
├02 明君の八姦対処法
├03 所謂亡君とは、其の国を有(たも)つ莫きに非ざるなり。而してこれを有つ者、皆な己れの有に非ざるなり。
└04 明主の官職爵禄を為(つく)るは、賢材を進めて有功を勧むる所以なり。

10 十過篇(じゅっか) - 十の過(あやまち) (君主として注意すべき十の過誤を述べる)
├01 人主の十過
├02 豎穀陽、楚将 司馬子反に酒を勧める - 小忠を行なわせるは、則ち大忠の賊なり。
├03 虞に道を借り、虢を伐つ - 小利を顧みるは則ち大利の残なり。
├04 楚霊王、申の会を為す - 行ない僻(かたよ)りて自用し、諸侯に礼無きは、則ち身を亡ぼすの至りなり。
├05 亡国の音楽 - 治を聴くに務めずして五音を好みて已(や)まざるは、則ち身を窮するの事なり。
├06 晋知伯の滅亡 - 貪愎(たんぷく)にして利を好むは、則ち国を滅ぼし身を殺すの本なり。
├07 秦穆公と由余 - 隣国に聖人有るは、敵国の憂いなり。 (中略)女楽に耽(ふけ)り、国政を顧みざるは、国を亡ぼすの禍いなり。
├08 田成子、海に遊ぶ - 臣の言は国の為めにす、身の為めにするに非ざるなり。 (中略)内を離れて遠遊するは、則ち身を危うくするの道なり。
├09 管仲の遺嘱 - 過ちながら忠臣に聴かず、独り其の意を行なうは、則ち其の高名を滅ぼして人の笑いと為るの始めなり。
├10 秦、韓の宜陽を攻める - 内は力を量らず、外は諸侯を恃(たの)む者は、則ち国削らるるの患(うれ)いなり。
└11 重耳(晋文公)、曹に辱められる - 国は小にして礼無く、諫臣を用いざるは、則ち世を絶つの勢なり。

11 孤憤篇(こふん) - 孤(ひと)りの憤(いきどお)り (法術の士が重臣に妨害されて才能をあらわせないことの憤り。韓非の自著とされる重要な篇)
├01 智術の士は、必ず遠見にして明察なり。 (中略)能法の士は、必ず強毅にして勁直(けいちょく)なり。
├02 邪臣の四助 - 敵国の訟、群臣の用、左右の匿、学士の談
├03 今、人主は参験を合わせずして誅を行ない、見功を待たずして爵禄す。故に法術の士、安んぞ能く死亡を蒙(おか)して其の説を進めん。
├04 死人と病を同じくする者は、生かすべからざるなり。亡国と事を同じくする者は、存すべからざるなり。
├05 智者は策を愚人に決せられ、賢士は行を不肖に程(はか・量)らる、則ち賢智の士は羞(は)じて、人主の論は悖(もと)らん。
└06 主の利は労有りて爵禄するに在るも、臣の利は功無くして富貴なるに在り。朋党比周

12 説難篇(ぜいなん) - 説くことの難しさ (権力者に進言することの難しさを説く。『史記』によれば孤憤・五蠹篇などとともに韓非の自著という)
├01 説の難きは、説く所の心を知りて、吾が説を以てこれに当つべきに在り。
├02 事は密を以て成り、語は泄(せつ)を以て敗る。
├03 説の務めは、説く所の矜(ほこ)る所を飾りて、其の恥ずる所を滅するを知るに在り。
├04 鄭武公、胡を伐たんと欲す - 胡は兄弟の国なり。
└05 弥子瑕、衛君に寵有り - 人主も亦た逆鱗有り。説く者能く人主の逆鱗に嬰るること無くんば、則ち幾(ちか)し。 →逆鱗

13 和氏篇(かし) - 和氏の璧(へき)* (法術の士が一般の君主に受け入れられることの難しさを訴える)
├01 和氏の璧 - 夫の宝玉にしてこれに題するに石を以てし、貞士にしてこれに名づくるに誑(あざむ)くを以てするを悲しむ。 →和氏之璧
└02 呉起と商君 - 人主に悼王・孝公の聴無ければ、則ち法術の士、安んぞ能く二子の危うきを蒙(こうむ)りて、己れの法術を明らかにせんや。

14 姦劫弑臣篇(かんきょうしいしん) - 姦し劫し弑する臣 (臣下に対し、法術によって君権を守ることが安泰の道であると説く)
├01 姦臣は皆な人主の心に順いて、以て親幸の勢を取らんと欲する者なり。
├02 夫れ有術者の人臣為るや、度数の言を效(致)し、上は主の法を明らかにし、下は姦臣を困(くる)しめ、以て主を尊くし国を安んずる者なり。
├― 善く勢に任ずる者は国安く、其の勢に因るを知らざる者は国危うし。
├03 夫れ世の愚学は、皆な治乱の情を知らず、讘[言夾](しょうきょう)して先古の書を誦し、以て当世の治を乱し、
├― 智慮は以て阱井(せいせい)の陷を避くるに足らず、又た妄りに有術の士を非(そし)る。
├04 春申君と愛妾 - 君臣の相い与(くみ)するや、父子の親有るに非ざるなり。而も群臣の毀言は、特(ただ)に一妾の口のみに非ざるなり。
├05 世の学者、人主に説くに、威厳の勢に乗じて姦邪の臣を困(くる)しめよと曰わず、而して皆な仁義惠愛のみと曰う。
├― 世主は仁義の名を美として、其の実を察せず。是を以て大なる者は国亡びて身死し、小なる者は地削られて主は卑し。
└06 厲、王を憐れむ - 劫殺死亡の君は、此れ其の心の憂懼、形の苦痛たるや、必ず厲(らい)よりも甚だし。

15 亡徴篇(ぼうちょう) - 亡ぶ徴(しるし) (国が滅ぶ徴候を四十七条に分けて具体的に説明する)
└01 両堯は相い王たること能わず、両桀は相い亡ぶること能わず。亡王の機は、必ず其の治乱強弱、相い踦(き)する者なり。

16 三守篇(さんしゅ) - 三つの守り (君主の厳守すべき三つのことを述べる)
└01 人主に三守有り。三守完(まった)たければ、則ち国は安く身も栄え、三守完たからずは則ち国は危うく身も殆うし。

17 備内篇(びない) - 内に備えよ (「内」とは宮廷内の后妃や嫡子のことで、肉親にであっても備えよと説く)
├01 人主の患(うれ)いは人を信ずるに在り。人を信ずれば則ち人に制せらる。
├02 桃左春秋に曰わく - 人主の疾(や)みて死する者は、半ばに処ること能(あた)わず。
├03 日月は外に暈圍(うんい)して、其の賊は内に在り。
├― (中略)士に幸賞無く、踰行(ゆこう)無く、殺は必ず当たり、罪は赦(ゆる)さず、則ち姦邪も其の私を容るる所無し。
├04 上古の伝言、春秋の記す所、法を犯し逆を為し、以て大姦を成す者、未だ嘗て尊貴の臣に従(よ)らずんばあらざるなり。
├― 然り而して、法令の備うる所以、刑罰の誅する所以は、常に卑賤に於いてす。
└― 偏(ひと)えに其の権勢を借さば、則ち上下位を易(か)えん。

18 南面篇(なんめん) - 南面する者* (南面は君主の位のこと。君主による治国の要点をあげる)
├01 人主の過ちは、已(すで)に臣に任じながら、又必ず反って其の任ぜざる所の者とこれに備うるに在り。
├02 主道なる者は、人臣をして前言 後に復せず、後言 前に復せざれば、事に功有りと雖も、必ず其の罪に伏せしむ。これを下に任ずと謂う。
├― (中略)主道なる者は、人臣をして必ず言うの責め有り、又言わざるの責め有らしむ。
├03 功なる者は、其の入ること多く其の出ずること少なくして、乃ち功と謂うべし。
├04 治を知らざる者は、必ず曰わく、古を変うること無かれ、常を易うること毋(な)かれと。変うると変えざるとは、聖人聴かず、治を正むるのみ。
└05 愚贛窳墯(ぐこうゆだ)の民は、小費を苦しみて大利を忘る、小変を震(おそ)れて長便を失す、乱に狎習して治に吝(やぶさ)かなり。

19 飾邪篇(しょくじゃ) - 邪を飭(いまし)める  *邪を飾(かざ)る とも (卜占など迷信を邪悪の第一にあげ、法を本として惑わされぬように戒める)
├01 亀筴鬼神は以て挙(みな)勝つには足らず、左右背鄉は以て専ら戦うには足らず。然り而してこれを恃むは、愚なること焉れより大なるは莫し。
├02 古者、先王は力を親民に尽くし、事を明法に加う。 (中略)鬼神を恃(たの)む者は法を慢(おこた)り、諸侯を恃む者は其の国を危うくす。
├03 治の数に明らかなれば、則ち国は小なりと雖も富み、賞罰敬信なれば民は寡なしと雖も強し。
├04 家に常業有れば、飢〔饑〕と雖も餓えず、国に常法有れば危なりと雖も亡びず。
├― 令に先きんずる者は殺され、令に後るる者も斬らる。則ち古えは先ず令の如くするを貴ぶなり。
├05 法を敗るの人は、必ず詐りを設け物に託して以て親を来たし、又好んで天下の希に有る所を言う。
└06 主の道は、必ず公私の分を明らかにして、法制を明らかにして、私恩を去る。

[岩波文庫 第二冊]
20 解老篇(かいろう) - 老子を解く (『老子』についての最も古い解説)
├01 『老子』38章の解 - 無為無思にして虚為るを貴ぶ所以の者は、其の意の制せらるる所無きを謂うなり。
├― 仁とは其の中心欣然として人を愛するを謂うなり。 (中略)義とは其の宜しきを謂うなり。 (中略)礼とは情を貌(かたち)する所以なり。
├02 『老子』58章の解 - 人の迷うや其の日故(もと)より久し。
├03 『老子』59章の解 - 聡明叡智は天なり。動静思慮は人なり。
├04 『老子』60章の解 - 有道の君は静を貴び、法を変ずるを重んぜず。
├05 『老子』46章の解 - 諸侯を遇するに礼義有れば、則ち役は起こること希(すく)なく、民事を治むるに本を務むれば、則ち淫奢(いんしゃ)止む。
├06 道の解 - 道は諸(こ)れを譬(たと)うるに水の若し。溺者は多く飲みて即ち死し、渴(かっ)する者は適(ほどよ)く飲みて即ち生く。
├07 『老子』14章の解 - 人は生象(せいぞう)を見ること希なり。而して死象の骨を得、其の図を案じて以て其の生を想う。
├08 『老子』1章の解 - 常とは易わる攸(ところ)無く、定理無し。定理無ければ、常所に在るに非らず。是(ここ)を以て道とすべからざるなり。
├09 『老子』50章の解 - 民は独(た)だ兕虎の爪角有るを知りて、万物の尽(ことごと)く爪角有るを知る莫く、万物の害より免れず。
├10 『老子』67章の解 - 周公曰わく、冬日の閉凍や固からざれば、則ち春夏の草木を長ずるや茂らず。
├11 『老子』53章の解 - 大姦作(おこ・起)れば則ち小盜隨(したが)い、大姦唱うれば則ち小盜和す。
├12 『老子』54章の解 - これを身に脩むれば、其の徳乃(すなわ)ち真なり。 (中略)これを家に脩むれば、其の徳に余り有り。
├― (中略)これを鄉に脩むれば、其の徳乃ち長し。 (中略)これを邦に脩むれば、其の徳乃ち豊かなり。
├― (中略)これを天下に脩むれば、其の徳乃ち普(あまね)し。
└― 身を以て身を観(み)、家を以て家を観、鄉を以て鄉を観、邦を以て邦を観、天下を以て天下を観る。

21 喩老篇(ゆろう) - 老子に喩(たと)う (歴史故事や伝説をあげて、『老子』の句を比喩的に解釈する)
├01 徐偃王、晋智伯、虞君 - 禍は足るを知らざるより大なるは莫(な)し。
├02 楚の孫叔敖 - 善く建てれば抜けず、善く抱けば脱せず。子孫、其の祭祀を以て世世に輟(や)めず。
├03 趙主父(武霊王) - 軽なれば則ち臣を失い、躁なれば則ち君を失う。
├04 斉簡公、越王勾践、晋献公 - 賞罰は邦の利器なり。 (中略)将にこれを取らんと欲すれば、必ず固(しばら)くこれを与えよ。
├05 蔡桓公と扁鵲 - 天下の難事は必ず易(い)より作(お)こり、天下の大事は必ず細より作こる。
├06 鄭の叔瞻と虢の宮之奇 - 其の安きは持し易きなり。其の未だ兆さざるは、謀り易きなり。
├07 紂、象箸(ぞうちょ)を為(つく)りて箕子怖る - 小を見るを明と曰う。
├08 越王勾践、入りて呉に宦す - 柔を守るを強と曰う。
├09 宋の鄙人、璞玉(はくぎょく)を得てこれを子罕に献ず - 爾は玉を以て宝と為すも、我は子の玉を受けざるを以て宝と為す。
├― 焚書王寿 - 知者は言談を以て教えず、而して慧者は蔵書を以て篋(はこ)にせず。 (中略)学ばざるを学びとし、衆人の過ぎたる所を復帰す。
├10 宋人、象牙で楮葉(ちょよう)を為(つく)る - 万物の自然を恃(たの)みて敢えて為さざるなり。
├11 趙襄主と王於期、楚の白公勝 - 戸を出でずして、以て天下を知るべし。牖(ゆう・窓)を闚(うかが)わずして、以て天道を知るべし。
├12 楚荘王と伍挙 - 三年翅(はばた)かず、飛ばず鳴かず、嘿然(もくぜん)として声無し。 →一鳴驚人 (中略)大器は晩成、大音は希声。
├13 楚荘王と杜子 - 智の目の如きを患(うれ)うなり。能(よ)く百步の外を見るも、自ら其の睫(まつげ)を見ること能(あた)わず。
├― 子夏、曾子に会う - 曾子曰わく、何ぞ肥たるや 子夏対えて曰わく、戦いて勝つ、故に肥えたり。 (中略)先王の義、富貴の楽しみに勝つ。
└14 周に玉版有り、紂、膠鬲をしてこれを索(もと)めしむ。文王予(あた)えず。費仲来たって求む。因りてこれを予う。

22 説林篇 上(ぜいりん) - 説話の林集 上篇* (説話集の意。「内儲説篇」などと違って、配列に特別な意図はない)
├(01) 殷湯王、務光に天下を譲る
├(02) 秦の甘茂と孟卯
├(03) 子圉、孔子を商(宋)の太宰に見えしむ - 吾れ已(すで)に孔子を見れば、則ち子を視るに猶お蚤蝨(そうしつ)の細なる者のごときなり。
├(04) 魏恵王、臼里の盟を為し、将に天子を復立せんとす
├(05) 斉桓公と鮑叔
├(06) 楚の辺候、伍子胥を捕らえる - 上の我れを索むる者は、我れに美珠有るを以てなり。 (中略)我れ且(まさ)に子取りてこれを吞むと曰わん。
├(07) 慶封、乱を斉に為して、越に走らんと欲す
├(08) 魏宣子と任章 - 周書に曰わく、将にこれを敗らんと欲すれば、必ず姑くこれを輔けよ。将にこれを取らんと欲すれば、必ず姑くこれに予えよ。
├(09) 秦康公、台を築きて三年なり
├(10) 宋の臧孫子、楚に救援を求める
├(11) 魏文侯、趙に道を借り中山を攻める
├(12) 鴟夷子皮(范蠡)、田成子に事(つか)う - 今、子は美にして我れは悪(みにく)し。子を以て我が上客と為さば、千乗の君なり。 →涸沢之蛇
├(13) 温人、周に往く - 普天(ふてん・溥天)の下、王土に非ざること莫く、率土の浜、王臣に非ざること莫し。(『詩経』小雅・北山)
├(14) 韓宣王と樛留
├(15) 紹績昧、酔いて寐ねて裘を亡う - 酒を彝にすること毋かれ。 (中略)酒を常にする者は、天子なれば天下を失い、匹夫なれば其の身を失う。
├→ 無彝酒 - 文王、小子に誥げ教えらく、有正・有事、酒を彝(つね・常)にすること無かれ。越(およ)び庶国飲むこと惟れ祀(まつり)のみせよ。
├→ 徳を将(おこな)いて醉うこと無かれ。(『書経』周書・酒誥)
├(16) 管仲と隰朋 - 管仲の聖と隰朋の智とを以てするも、其の知らざる所に至りては、老馬と蟻とを師とするを難(はばか)らず。 →識路老馬
├(17) 中射の士と不死の薬
├(18) 恵子、田駟をかばう
├(19) 魯穆公、衆公子をして或いは晋に宦せしめ、或いは楚に宦せしむ
├(20) 厳遂、周君に善からず 周君これを患う
├(21) 韓の相 張譴、病みて将に死せんとす - 公乗無正、三十金を懐にして其の疾いを問う
├(22) 魏将 楽羊、子の羹(あつもの)を啜(すす)る - 其の子にしてこれを食らえば、且(は)た誰をか食らわざらん。
├(23) 曾従子と衛君 - 子の是れを為すや、義に縁(よ)るに非ず、利の為めにするなり。
├(24) 紂、象箸(ぞうちょ)を為(つく)りて箕子怖る - 聖人は微を見て以て萌を知り、端を見て以て末を知る。
├(25) 周公旦、已(すで)に殷に勝ち、将に商蓋を攻めんとす
├(26) 紂、長夜の飲に日を失(わす)る - 天下の主と為りて日を失る、天下其れ危うし。一国皆な知らずして我れ独りこれを知る、吾れ其れ危うし。
├(27) 越人は跣行し、越人は被髮す - 子の長ずる所を以て用いざるの国に游ばば、窮する無からしめんと欲するも、其れ得べけんや。
├(28) 恵子、陳軫に忠告す
├(29) 季孫氏、其の君を弒(しい)し、呉起、魯を去り晋に往く
├(30) 隰斯弥、田成子を見る - 樹を伐らざるも未だ罪有らざるなり。人の言わざる所を知るは、其の罪大なり。
├(31) 楊子、宋の逆旅の妾二人を見る - 行ない賢にして、自ら賢とするの心を去らば、焉(いず)くに往くとして美とせられざらん。
├(32) 衛人、其の子を嫁して、これに教えて曰わく - 必ず私(ひそ)かに積聚せよ。人の婦と為りて出ださるるは常なり。其の居を成すは幸なり。
├(33) 魯丹、三たび中山の君に説く
└(34) 恵子曰わく - 狂者東に走り、逐(お)う者も亦た東に走る。其の東に走るは則ち同じきも、其の東に走る所以の為(ゆえ)は則ち異なり。

23 説林篇 下(ぜいりん) - 説話の林集 下篇*
├(01) 伯楽、二人に踶馬(ていば)を相することを教う
├(02) 衛将 文子、曾子に見(あ)う
├(03) 翢翢(とうとう)という鳥 - 人の飲みて足らざる所の者は、其の羽を索(もと)めざるべからず。
├(04) 鱣(せん)は蛇に似、蚕(さん)は蠋(しょく)に似たり - 漁者は鱣を持ち、婦人は蚕を拾う。利の在る所は、皆な〔孟〕賁・〔専〕諸と為る。
├(05) 伯楽、其の憎む所の者に千里の馬を相するを教え、其の愛する所の者に駑馬を相するを教う
├(06) 桓赫曰わく - 刻削の道、鼻は大なるに如くは莫く、目は小なるに如くは莫し。
├(07) 殷の崇侯と悪来は、心を知るも事を知らず、比干と伍子胥は、事を知るも心を知らず。
├(08) 宋の太宰、貴くして断を主(つかさど)り、季子、将に宋の君に見(まみ)えんとす
├(09) 楊朱の弟楊布、飼い狗に吠えられる
├(10) 惠子曰わく - 必すべくんば、則ち越人も羿を疑わず、必すべからずんば、則ち慈母も弱子を逃る。
├(11) 斉桓公、管仲に富の涯(はて)を問う - 人自ら足るに止まること能わず、而(すなわ)ち其の富の涯亡きか。
├(12) 宋の富賈(ふこ) 監止子、人と争いて百金の璞玉(はくぎょく)を買う
├(13) 御を以て楚王に見えんと欲する者有り、衆騶これを妬む
├(14) 楚、公子をして将とし陳を伐たしむ
├(15) 堯、許由に天下を譲る
├(16) 三蝨(しつ・しらみ)、相い与(とも)に訟(あらそ)う
├(17) [虫鬼](かい・虺)という蛇 - 一身にして両口あり。食を争いて相い齕(か)むや、遂に相い殺し、因りて自殺す。
├(18) 宮に堊(あく)有り、器に滌(でき)有れば則ち潔し。身を行なうも亦た然り。
├(19) 公子糾、将に乱を為さんとす - 笑えども楽しまず、視れども見ず、必ず乱を為さん。
├(20) 公孫弘と公孫喜 - 我れは髮を断つ、子は頸(くび)を断ちて、人の為めに兵を用う。我れは将(は)た子を何とか謂わん。
├(21) 悍者(かんしゃ)と隣するもの有り、宅を売りてこれを避けんと欲す - 物の幾(き)は靡(び)す所(べ)きに非ず。
├(22) 子貢、楚の子西に説く - 行ないに直き者は、欲に曲がる。
├(23) 晋の中行文子、出亡し県邑を過(よぎ)る - 容(悦)を我に求める者は、吾れ其の我れを以て容を人に求めんことを恐るるなり。
├(24) 魏の周趮と斉の宮他
├(25) 白圭、宋の大尹に謂いて曰わく
├(26) 管仲と鮑叔 - 巫咸は善く祝すと雖(いえど)も、自ら祓うこと能わず、秦医は善く除くと雖も、自ら弾ずること能わず。
├(27) 楚王、呉を伐ち、呉、沮衛蹙融をして楚の師を犒(ねぎら)わしむ
├(28) 知伯、将に仇由を伐たんとす
├(29) 越、已(すで)に呉に勝ち、又、卒を楚に索(もと)めて晋を攻めんとす
├(30) 楚、陳を伐ち、呉、これを救う
├(31) 韓と趙、相い与(とも)に難を為す - 魏文侯曰わく、寡人は趙と兄弟たり、以て従うべからず、(中略)寡人は韓と兄弟たり、敢えて従わず。
├(32) 魯君と楽正子春 - 臣も亦た臣の信を愛(いと)しむ。
├(33) 韓咎、立ちて君と為るも、未だ定まらず
├(34) 斉の靖郭君、将に薛に城(きず)かんとす - 客以て諫むる者多し。 (中略)三言にして已まん (中略)海大魚
├― 君、大魚を聞くか。網も止(捕)える能わず、繳(つな)も絓(か)くる能わざるも、蕩(おど)りて水を失わば、螻蟻も意を得ん。
├(35) 楚王の弟、秦に在り、秦出ださず
├(36) 呉王闔廬と伍子胥 - 人を溺らす者は、一飲にして止めば則ち溺るる者無し。其の休むを以てなり。これに乗じて以てこれを沈むるに如かず。
└(37) 鄭人の壞れたる墻(かき) - 其の子を以て智と為し、巷人の告げし者を以て盜と為す。

24 観行篇(かんこう) - 行を観る (人の行為の観察について述べる)
├01 鏡には疵を見(あら)わすの罪無く、道には過ちを明らかにするの怨み無し。
└02 可なるに勢に因り、易き道を求む。故に用力は寡(すく)なくして功名は立つ。 (中略)名主は人を観て、人をして己れを観せしめず。

25 安危篇(あんき) - 安泰と危険* (国の安泰への道七つと危険への道六つを説明する)
├01 安術に七有り、危道に六有り (中略)人、生を楽しまざれば、則ち人主尊からず、死を重(かた)んぜざれば、則ち令は行なわれざるなり。
├02 奔車の上に仲尼無く、覆舟の下に伯夷無し。故に号令は、国の舟車なり。
├― 国を安んずるの法は、饑えて食らい、寒くして衣るが若く、令せずして自ずから然るなり。
├03 古え、扁鵲の甚病を治むるや、刀を以て骨を刺し、聖人の危国を救うや、忠を以て耳に払(さか)らう。
├04 功無きを以て生を楽しまざるを御するは、斉民に行なうべからず。
├05 安危は是非に在りて、強弱に在らず。存亡は虚実に在りて、衆寡に在らず。
└06 明主の道は法に忠す。其の法は心に忠す。故にこれに臨みて治まり、これを去りて思(慕)わる。

26 守道篇(しゅどう) - 守りの道 (外攻ではなく、内に国家の権勢を守る道を説く)
├01 聖王の法を立てるや、其の賞は以て善を勧むるに足り、其の威は以て暴に勝つに足り、其の備えは以て必ず完くするに足る。
├02 古えの善く守る者は、其の重き所を以て其の軽き所を禁じ、其の難き所を以て其の易き所を止む。
└03 今、天下に一の伯夷無くして、姦人は世に絶えず、故に法の度量を立つ。

27 用人篇(ようじん) - 人を用う (君主が臣下を十分に働かせるための要点を説く)
├01 古えの善く人を用うる者は、必ず天に循(したが)い人に順いて賞罰を明らかにす。
├02 中主をして法術を守り、拙匠をして規矩尺寸を守らしむれば、則ち万失わず。
├03 表を以て目に示し、鼓を以て耳に語(つ)げ、法を以て心に教う。
├04 明主の表は見易し、故に約立つ。其の教えは知り易し、故に言用いられる。其の法は為し易し、故に令行なわる。
├05 明主は人臣の苦しむ所を除きて、而して人主の楽しむ所を立つ。上下の利、此れより長きは莫し。
├06 人主は為し難きを立てて、及ばざるを罪すれば、則ち私怨生ず。
├07 燕王をして内に其の民を憎みて、外に魯人を愛せしむれば、則ち燕は用(はたら)かずして、魯は附(つ)かず。
├08 至治の国は、賞罰有りて喜怒無し。
└09 夫れ人主、隙穴を塞がずして、力を赭堊(しゃあく)に労すれば、暴雨疾風に必ず壞れん。

28 功名篇(こうめい) - 功を立て名を成す* (君主が功業を成しとげて名声をあげるための方法を説く)
├01 故に天時を得れば、則ち務めずして自ずから生じ、人心を得れば、則ち趣(うなが)さずして自ずから勧(つと)め、
├― 技能に因れば、則ち急にせずして自ずから疾(はや)く、勢位を得れば、則ち進めずして名成る。
├02 夫れ材(才)有るも勢無ければ、賢と雖(いえど)も不肖を制すること能わず。
├03 人主なる者は、天下、力を一にして以て共にこれを載く。故に安し。
├04 一手独り拍(う)つは、疾(つよ)しと雖(いえど)も声無し。
├05 古えの能く功名を致す者は、衆人これを助くるに力を以てし、近き者はこれに結ぶに成(誠)を以てし、
└― 遠き者これを誉むるに名を以てし、尊き者これを載くに勢を以てす。

29 大体篇(だいたい) - 治国の大要* (国家の施政の綱領を述べ、法術・刑罰に重点をおく)
├01 禍福は道法より生じて、愛悪より出でず、栄辱の責めは己れに在りて、人に在らず。
├02 太山は好悪を立てず、故に能く其の高きを成す。江海は小助を択(えら)ばず、故に能く其の富を成す。
└― 故に大人は形を天地に寄せて万物備わり、心を山海に歴(つ)けて国家富む。

30 内儲説篇 上 七術(ないちょぜい・しちじゅつ) - 説話の儲(たくわ)え 内篇 上 七つの術(方策)*
├01 主の用うる所は七術(しちじゅつ)なり。察する所は六微(りくび)なり。
├― 七術(しちじゅつ) - 1.衆端に参観す 2.必罰にして威を明らかにす 3.信賞して能を尽くさしむ 4.一に聴きて下を責む
├― 5.疑詔(ぎしょう)詭使(きし)す 6.知を挾(はさ)みて問う 7.言を倒(さかさま)にして事を反す
├02 経 参観一 - 観聴参せざれば、則ち誠聞こえず。聴に門戸有れば、則ち臣壅塞(ようそく)す。
├03 経 必罰二 - 愛多き者は則ち法立たず、威寡(すく)なき者は則ち下、上を侵す。是を以て刑罰必せざれば、則ち禁令行なわれず。
├04 経 賞誉三 - 賞誉薄くして謾なれば、下は用(はたら)かず。賞誉厚くして信なれば、下は死を軽んず。
├05 経 一聴四 - 一に聴けば則ち愚智は分(まぎ・紛)れず。下を責むれば則ち人臣参(まじ・雑)らず。
├06 経 詭使五 - 数々(しばしば)見(まみ)え久しく待(たい)して任ぜざれば、姦則ち鹿散す。人を使いて能を問えば、則ち私を鬻(ひさ)がず。
├07 経 挾智六 - 智を挾(はさ)みて問えば、則ち智(し)らざる者も至り、深く一物を智らば、衆隱皆な変ず。
├08 経 倒言七 - 言を倒(さかさま)にして事を反し、以て疑う所を嘗(こころ)むれば、則ち姦情(かんじょう)得らる。
├09 説一(「経 参観一」についての説話)
├(01) 衛霊公と弥子瑕 - 侏儒、夢に竈(かまど)を見る
├(02) 魯哀公と孔子 - 今、魯国の群臣は千百を以て数うるも、言を季氏の私に一にす。人の数は衆からざるに非ざるも、言う所の者は一人なり。
├(03) 斉王、河伯に会う
├(04) 張儀と惠施 - 張儀、秦・韓と魏との勢を以て斉・楚を伐たんと欲す。而して惠施は斉・楚を以て兵を偃(や)めんと欲す。二人これを争う。
├(05) 魯の叔孫と豎牛
├(06) 江乞と楚王
├(07) 衛の嗣君と寵臣愛妃
├(08) 矢の来るに鄉無ければ、則ち鉄室を為(つく)りて以て尽(ことごと)くこれに備う。これに備うれば、則ち体は傷つかず。
├(09) 龐恭と魏王 - 夫れ市の虎無きは明らかなり。然れども三人言いて虎を成す。三人成虎
├10 説二(「経 必罰二」についての説話)
├(01) 董閼于、趙の上地の守と為り、石邑の山中を行(めぐ)る
├(02) 子産、游吉に後事を託す - 夫れ火は形厳なり、故に人灼(や)かれること鮮(すくな)し。水は形懦(だ)なり、故に人溺るること多し。
├(03) 魯哀公と孔子 - 冬十二月、霣霜、菽を殺さず (中略)天、道を失えば、草木すら猶おこれを犯干す。而るを況(いわ)んや人君に於いてや。
├(04) 殷の法、灰を街に棄つる者を刑す。子貢、以て重しと為し、孔子に問う。
├(05) 中山の相 楽池、車百乗を以て趙に使いす
├(06) 商鞅の法 - 公孫鞅の法や、軽罪を重くす。重罪は人の犯し難き所なり。而して小過は人の去り易き所なり。
├(07) 荊南の地、麗水の金泥棒 - 夫れ罪は市に辜磔(こたく)せらるるより重きは莫きに、猶お止まざる者は、必ずしも得られざればなり。
├(08) 魯哀公と孔子 - 魯人、積沢を焼く
├(09) 成驩と斉王
├(10) 魏惠王と卜皮
├(11) 斉桓公と管仲 - 斉国、厚葬を好む。 (中略)凡そ人の為す有るや、これを名とするに非ざれば、則ちこれを利とするなり。
├(12) 衛嗣君と胥靡
├11 説三(「経 賞誉三」についての説話)
├(01) 斉王、文子に治国を問う - 夫れ賞罰の道為(た)るや、利器なり。
├(02) 越王句践、大夫文種に伐呉を問う
├(03) 呉起、魏武侯の西河の守と為る
├(04) 李悝、魏文侯の上地の守と為る - 人の狐疑の訟え有る者は、これをして的を射しめん。中(あ)たる者は勝ちとし、中たらざる者は負けとす。
├(05) 宋の祟門の巷人、喪に服して毀(き)し、甚だ瘠(や)せたり。
├(06) 越王句践、怒鼃(どあ・怒蛙)を見て、これに式す
├(07) 韓昭侯、人をして弊袴(へいこ)を藏せしむ
├(08) 鱣(せん)は蛇に似、蚕(さん)は蠋(しょく)に似たり
├12 説四(「経 一聴四」についての説話)
├(01) 魏王と鄭王
├(02) 斉宣王、人をして竽(う)を吹かしめ、必ず三百人なり →濫竽充数
├(03) 趙、韓の申子(申不害)を頼る
├(04) 趙・魏・韓の三国連合軍、秦の函谷関に至る
├(05) 秦の応侯(范雎)と昭襄王 - 邯鄲は口中の蚤(しらみ)なり。 →口中蚤虱・口中の虱
├13 説五(「経 詭使五」についての説話)
├(01) 県令 龐敬
├(02) 宋の太宰 戴驩
├(03) 周主、玉簪(ぎょくしん)を亡(うしな)う
├(04) 商の太宰、少庶子をして市に之(ゆ)かしむ
├14 説六(「経 挾智六」についての説話)
├(01) 韓昭侯、爪を握り、而して佯(いつわ)りて一爪を亡(うしな)うとして、これを求むること甚だ急なり
├(02) 韓昭侯、騎を県に使いせしむ
├(03) 周主、令を下して曲杖を索(もと)めしむ
├(04) 県令卜皮
├(05) 西門豹、鄴の令為(た)り、佯(いつわ)りて其の車轄(しゃかつ)を亡(うしな)う
├15 説七(「経 倒言七」についての説話)
├(01) 衛の相 山陽君、偽りて樛豎(きょうじゅ)を謗(そし)る
├(02) 淖歯と斉湣王
├(03) 斉人、乱を為さんと欲する者有り
├(04) 燕の相 子之
├(05) 鄭の相 子産の裁判
└(06) 衛嗣公、人をして客と為りて関市を過(よぎ)らしむ

31 内儲説篇 下 六微(ないちょぜい・りくび) - 説話の儲(たくわ)え 内篇 下 六つの微(かくしごと)*
├01 六微(りくび) - 1.権借(けんか)して下に在り 2.利異なりて外に借る 3.似類に託す 4.利害に反する有り 5.参疑して内に争う 6.敵国廃置す
├02 経 権借一 - 権勢は以て人に借すべからず。上其の一を失えば、臣は以て百と為す。
├03 経 利異二 - 君臣の利は異なり。故に人臣は忠莫(な)く、故に臣の利立ちて主の利は滅ぶ。
├04 経 似類三 - 似類の事は、人主の誅を失する所以にして、大臣の私を成す所以なり。
├05 経 有反四 - 事起こりて利する所有れば、其の尸(し)、これを主(つかさど)る。害する所有れば、必ず反りてこれを察す。
├06 経 参疑五 - 参疑の勢は、乱の由りて生ずる所なり。故に明主はこれを慎む。
├07 経 廃置六 - 敵の務むる所は、察を淫して靡(非)を就(成)すに在り。人主察せざれば、則ち敵廃置す。
├08 経 廟攻 - 参疑廃置の事、明主はこれを内に絶ちて、これを外に施す。其の軽き者に資して、其の弱き者を輔く。此れを廟攻(びょうこう)と謂う。
├09 説一(「経 権借一」についての説話)
├(01) 勢重は人主の淵なり。臣は勢重の魚なり。
├(02) 斉の相 靖郭君 - 故人と久しく語れば、則ち故人富み、左右に刷を懐(たま・賜)えば、則ち左右重し。
├(03) 晋厲公の時、六卿貴し - 大臣は貴重、主に敵して事を争い、外に市して党を樹(た)て、下は国法を乱り、上は以て主を却(おびや)かす
├(04) 楚の相 州侯
├(05) 燕人李季、狗矢(くし・狗糞)を浴す
├10 説二(「経 利異二」についての説話)
├(01) 衛人に夫妻の禱(いの)る者有り - 是れより益さば、子、将(ある)いは以て妾を買わん。
├(02) 楚王、諸公子を四隣に宦せしめんと欲す
├(03) 魯の孟孫、叔孫、季孫、相い戮力(りくりょく)して昭公を劫(おびや)かし、遂に其の国を奪いて其の制を擅(ほしい)ままにす
├(04) 韓の相 公叔
├(05) 翟璜は魏王の臣なり、而して韓に善し
├(06) 呉王夫差謝して服を告ぐ、越王句践これを許さんと欲す
├― 范蠡曰わく - 昔、天は越を以て呉に与うるも、呉は受けず。今、天は夫差に反す。亦た天の禍なり。呉を以て越に予う、再拜してこれを受けよ。
├― 太宰嚭、大夫種に書を遺(おく)りて曰わく - 狡兔(こうと)尽くれば則ち良犬烹(に)られ、敵国滅びなば則ち謀臣亡ぶ。 →狡兔良狗
├(07) 趙の大成牛と韓の申不害 - 是れ子に両韓有り、我れに両趙有るなり。
├(08) 司馬喜は中山君の臣なり、而して趙に善し
├(09) 呂倉は魏王の臣なり、而して秦・楚に善し - 微(ひそ)かに秦・楚に諷し、魏を攻めしむ。因りて請いて和を行ない、以て自ら重くせり。
├(10) 魏将 宋石と楚将 衛君
├(11) 魏の相 白圭と韓の相 暴譴
├11 説三(「経 似類三」についての説話)
├(01) 斉の中大夫 夷射と門者 刖跪 - 因りて水を郎門の霤下(りゅうか)に捐(す)て、溺者(じょうしゃ)の状に類せしむ。
├(02) 魏王の臣二人、済陽君に善からず
├(03) 季辛、爰騫と相い怨む
├(04) 楚懐王の愛妾 鄭袖 - 此れ固(もと)より王の臭を悪(にく)むと言う。
├(05) 楚の令尹 子常と費無極
├(06) 魏の犀首と張寿と陳需
├(07) 中山の賤公子
├(08) 魏の済陽君と老儒
├12 説四(「経 有反四」についての説話)
├(01) 魏王の臣 陳需、楚王に善し
├(02) 韓昭侯の時、黍の種、嘗(かつ)て貴(たか)きこと甚だし。
├(03) 昭奚恤の楚を用(おさ)むるや、倉廥(そうかい)の窌(やね)を焼く者有り
├(04) 韓昭僖侯の時、宰人食を上(たてまつ)る、而して羹(あつもの)の中に生肝有り
├― 韓僖侯浴す、湯の中に礫(こいし)有り (中略)尚浴免ぜらるれば、則ち臣これに代わるを得。
├(05) 晋文公の時、宰臣炙(あぶりにく)を上(たてまつ)る、而して髮これに繞(めぐ)る - 臣に死罪三つ有り
├(06) 秦の相 穰侯(魏冄)と西帝・東帝
├13 説五(「経 参疑五」についての説話)
├(01) 晋獻公と驪姫・奚斉
├(02) 夫人、鄭君を毒殺す
├(03) 衛州吁重於衛,擬於君
├(04) 周の公子朝と公子根
├(05) 楚成王、商臣を以て太子と為す - 成王、能膰(ゆうはん)を食いて死せんことを請うも、許されず、遂に自殺す。
├(06) 韓哀侯の相 韓廆と厳遂
├(07) 斉簡公の相 田恒と闞止
├(08) 宋の太宰 戴驩と皇喜
├(09) 晋の狐突曰わく - 国君、内を好めば則ち太子危うく、外を好めば則ち相室危うし。
├(10) 鄭君と鄭昭 - 太子未だ生まれざるなり。
├14 説六(「経 廃置六」についての説話)
├(01) 周文王、費仲に資して殷紂の旁(そば)に遊ばしめ、これをして紂を諫して其の心を乱さしむ
├(02) 楚王、人をして秦に之(ゆ)かしむ、秦王甚だこれを礼す - 敵国に賢者有るは、国の憂いなり。
├(03) 孔子、政を魯に為(おさ)め、道は遺(お)ちたるを拾わず、斉景公と梨且、これを患(うれ)い去らんと謀る
├(04) 楚王と干象 - 吾れ楚を以て甘茂を扶(たす)け、これを秦に相たらしめんと欲す。
├(05) 呉、楚を征す - 伍子胥、人をして楚に宣言せしめて曰わく、子期用いらるれば、将にこれを撃たんとす。子常用いらるれば、将にこれを去る。
├(06) 晋獻公、虞・虢を伐つ
├(07) 晋の叔向の萇弘を讒(ざん)するや、書を為(つく)る
├(08) 鄭桓公、将に鄶を襲わんと欲す - 先ず鄶の豪傑・良臣・弁智・果敢の士を問い、尽(ことごと)く其の姓名を挙ぐ。
├15 七(六微篇は経の六で終わり、この「七」以下は後人の増補)
├(01) 秦の侏儒、楚王に善(よみ)せられ、而して陰(ひそ)かに有(又)楚王の左右に善く、而して内は恵文君に重んぜらる
├(02) 魏の鄴の令 襄疵、陰(ひそ)かに趙王の左右に善し
└(03) 衛嗣君と県令の布団

[岩波文庫 第三冊]
32 外儲説篇 左上(がいちょぜい) - 説話の儲(たくわ)え 外篇 一*
├01 経一 - 明主の言を聴くや其の弁なるを美とし、其の行を観るや其の遠きを賢とす。
├02 経二 - 人主の言を聴くや功用を以て的と為さざれば、則ち説者に棘刺白馬の説多く、儀的を以て関と為さざれば、則ち射者皆な羿の如きなり。
├03 経三 - 相い為めにするを挾(さしはさ)まば、則ち責望し、自ら為めにすれば、則ち事行なわる。
├04 経四 - 利の在る所は民これに帰し、名の彰(あら)わるる所は士これに死す。
├05 経五 - 躬(みずか)らせず、親(みずか)らせざれば、庶民は信ぜず。(『詩経』小雅・節南山)
├06 経六 - 小信成れば、則ち大信立つ。故に明主は信を積む。賞罰信ならざれば、則ち禁令行なわれず。
├07 説一(「経一」についての説話)
├(01) 宓子賤と有若 - 術無くしてこれを御すれば、身は瘁臞(すいく)すと雖(いえど)も、猶お未だ益有らず。
├(02) 楚王と田鳩、墨子を語る - 今の世の談ずるや、皆な弁説文辞の言を道(い)い、人主は其の文を覽(み)て其の用を忘る。
├― (中略)楚人、珠を美櫝に入れて売る - 鄭人、其の櫝(とく・箱)を買いて其の珠を還(かえ)す。 →買櫝還珠
├(03) 墨子、木鳶を為(つく)り、三年にして成り、蜚(と)ぶこと一日にして敗る
├(04) 宋王、斉と仇するや、武宮を築く
├(05) 夫れ良薬は口に苦し。而るに智者の勧(つと)めてこれを飲むは、其の入りて己れの疾(やまい)を已(や)むるを知ればなり。
├― 忠言は耳に払(さから)う。而るに明主のこれを聴くは、其の功を致すべきを知ればなり。
├08 説二(「経二」についての説話)
├(01) 宋人、燕王の為めに棘刺(きょくし)の端を以て母猴(ぼこう)を為(つく)らんと請う - 計に度量無くんば、言談の士に棘刺の説多からん。
├(02) 宋の児説の白馬非馬論 - これを虚辞に籍れば、則ち能く一国に勝つも、実を考え形を按(あん)ずれば、一人をも謾(あざむ)くこと能わず。
├(03) 度無くしてこれに応ずれば、則ち弁士繁説し、度を設けてこれを持すれば、知者と雖も猶お失を畏れて敢えて妄言せず。
├(04) 客、燕王に不死の道を為すを教うる者有り
├(05) 鄭人、相い与(とも)に年を争う
├(06) 客、周君の為めに莢に画く者有り
├(07) 客、斉王の為めに画く者有り - 犬馬最も難し、(中略)鬼魅最も易し。
├(08) 斉の居士 田仲と宋の屈穀 - 今、田仲は人を恃(たの)みて食らわざるも、亦た人の国に益無し。亦た堅瓠の類なり。
├(09) 虞慶、屋(おく)を為(つく)る
├(10) 范雎曰わく - 弓の折るるは、必ず其の尽(おわ)りに於いてし、其の始めに於いてせず。
├(11) 嬰児の相い与(とも)に戯(たわむ)るるや、塵を以て飯と為し、塗(つち)を以て羹(あつもの)と為し、木を以て胾(し)と為す。
├― 然れども日晚(く)るるに至れば、必ず帰りて饟(しょく)するは、塵飯塗羹(じんはんとこう)は以て戯るべきも、食らうべからざればなり。
├― (中略)先王の仁義を道(い)えども、国を正すこと能わざるは、此れ亦た以て戯るべきも、以て治を為すべからざればなり。
├09 説三(「経三」についての説話)
├(01) 子と父とは至親なり。或いは譙(せ)め、或いは怨む者は、皆な相い為めにするを挾(さしはさ)みて、己れの為めにするに周からざればなり。
├(02) 晋文公、宋を伐ち、乃(すなわ)ち先ず宣言して曰わく - 余(わ)れ来たりて、民の為めにこれを誅す。
├(03) 越、呉を伐ち、乃(すなわ)ち先ず宣言して曰わく - 余(わ)れ来たりて、民の為めにこれを誅す。
├(04) 斉桓公の妻 蔡夫人、舟を揺らす
├(05) 呉起、魏将と為りて中山を攻む - 軍人、疽(しょ)を病む者有り。呉起、跪(ひざまづ)きて自ら其の膿(うみ)を吮(す)う。 →吮疽之仁
├(06) 趙主父、疎(迹)を播吾の上に刻せしむ - 主父、常(かつ・嘗)て此(ここ)に遊ぶ。
├(07) 秦昭王、華山の松柏の心を以て博を為(つく)らしむ - 昭王、嘗(かつ)て天神と此(ここ)に博す。
├(08) 晋文公と咎犯 - 籩豆(へんとう)はこれを捐(す)てよ、席蓐はこれを捐てよ。手足胼胝(へんち)、面目黧黒(れいこく)なる者はこれを後にせよ。
├(09) 鄭の県人卜子、妻に袴を為(つく)らしむ - 夫曰わく、吾が故き袴に象(かたど)れ。(中略)妻、因りて新を毀(こぼ)ちて故き袴の如くならしむ。
├(10) 鄭の県人、車軛を得る
├(11) 衛人に弋(よく)を佐(たす)ける者有り
├(12) 鄭の県人卜子の妻、市で鼈(すっぽん)を買う
├(13) 少者、長者に侍(はべ)りて飲むに、長者飲めば、亦た自ら飲むなり
├(14) 書にこれを言う、固より然り。
├(15) 郢人、燕の相国に書を遺(おく)る者有り、夜書して火明らかならず - 燭を挙げよ。
├― (中略)燭を挙ぐとは明を尚ぶなり。明を尚ぶとは、賢を挙げてこれに任ずるなり。 →郢書燕説
├(16) 鄭人且(まさ)に履(くつ)を買わんとする者有り - 寧(むし)ろ度を信ずるも、自ら信ずる無きなり。
├10 説四(「経四」についての説話)
├(01) 中牟の令 任登と趙襄主
├(02) 叔向と晋平公 - 転筋すれども、敢えて懐坐せず。
├(03) 鄭の県人 屈公、敵あるを聞き、恐れて因りて死し、恐れ已みて、因りて生く
├(04) 趙主父、李疵をして中山を視しむ - 好んで巖穴の士を顕わしてこれを朝せしむれば、則ち戦士は行陣に怠る。
├― 上は学者を尊び、下は居士を朝せしむれば、則ち農夫は田に惰(おこた)る。
├11 説五(「経五」についての説話)
├(01) 斉桓公、紫を服するを好み、一国尽(ことごと)く紫を服す
├(02) 鄭簡公と子産 - 子に職有り、寡人も亦た職有り、各々其の職を守らん。
├(03) 宋襄公、楚人と涿谷の上に戦う - 君は宋の民を愛せず、腹心も完うせず、特(た)だ義を為すのみ。 →宋襄之仁
├(04) 晏嬰、疾甚だ重く、且(まさ)に死せんとす - 斉景公、煩且の良と、騶子 韓枢の巧とを以てして、而も以て下り走るに如かずと為す。
├(05) 魏昭王、法を読むこと十余簡にして睡臥す
├(06) 孔子曰わく - 人君為る者は猶お盂(う)のごときなり。民は猶お水のごときなり。盂の方なれば水も方、盂の圜(えん)なれば水も圜。
├(07) 鄒君、長纓(ちょうえい)を服するを好む - 左右皆な長纓を服し、纓甚だ貴(たか)し。
├(08) 晋叔向、猟を賦す - 功多き者は多きを受け、功少なき者は少なきを受く。
├(09) 韓昭侯と申子(申不害) - 法とは、功を見て賞を与え、能に因りて官を受(さず・授)く。
├― 今、君は法度を設けながら、而も左右の請いを聴く。此れ行ない難き所以なり。
├12 説六(「経六」についての説話)
├(01) 晋文公、原を攻む - 吾れ士と十日を期す。去らざれば、是れ吾が信を亡(うしな)わん。原を得て信を失うは、吾れ為さざるなり。
├(02) 晋文公と箕鄭 - 名に信なれば、則ち群臣は職を守りて、善悪踰(こ)えず、百事怠らず。
├(03) 呉起出でて、故人に遇い、而してこれを止めて食せんとす - 起は食せずしてこれを待つ。
├(04) 魏文侯、虞人と猟を期す
├(05) 曾子と妻子 - 嬰児は与(とも)に戯るものに非ず。嬰児は知有るに非ず、父母を待ちて学ぶ者にして、父母の教えを聴く。
├― 今、子はこれを欺くは、是れ子に欺くを教うるなり。
├(06) 楚厲王、警有れば鼓を為し、以て百姓と戍(じゅ)を為す
└(07) 李悝、秦人と戦う

33 外儲説篇 左下(がいちょぜい) - 説話の儲(たくわ)え 外篇 二*
├01 経一 - 罪を以て誅を受くれば、人は上を怨まず。
├02 経二 - 勢を恃(たの)みて、信を恃まず。 (中略)有術の主は、信賞にして以て能を尽くさしめ、必罰にして以て邪を禁ず。信賞必罰
├03 経三 - 臣主の理を失えば、則ち文王自ら履(くつは)きて矜(つつし)む。
├04 経四 - 禁ず所(べ・可)きを利し、利す所きを禁ずれば、神と雖も行なわれず。罪す所きを誉め、賞す所きを毀(そし)れば、堯と雖も治まらず。
├05 経五 - 臣、卑倹を以て行と為せば、則ち爵は以て観(勧)賞に足らず。寵光に節無ければ、則ち臣下侵偪(しんひょく)す。
├06 経六 - 公室卑ければ則ち直言を忌み、私行勝てば則ち公功少なし。
├07 説一(「経一」についての説話)
├(01) 孔子の弟子 子皐(高柴)、衛の獄吏となり、人を刖(あしき)る - 善く吏たる者は徳を樹(た)て、吏為る能わざる者は怨みを樹つ。
├(02) 田子方、斉より魏に之(ゆ)き、翟黃(てきこう)の軒に乗り騎駕して出づるを望む
├(03) 魏の相 昭卯、危機を救う - 此れ其の功に称(くら)ぶれば、猶お縢(とう)を贏(ま)いて、蹻(きゃく)を履くがごとし。
├(04) 趙襄主の力士 少室周
├08 説二(「経二」についての説話)
├(01) 斉桓公、将に管仲を立てて仲父と為さんとし、東郭牙これを諌める
├(02) 晋文公と箕鄭 - 明主は其の我れに叛(そむ)かざるを恃(たの)まずして、吾れの叛くべからざるを恃む。
├(03) 陽虎議して曰わく - 主、賢明なれば、則ち心を悉(つく)してこれに事(つか)え、不肖なれば、則ち姦を飾りてこれを試みん。
├(04) 魯哀公と孔子 - 夔(き)は一にして足る。
├09 説三(「経三」についての説話)
├(01) 文王、韈(べつ)の係(ひも・繫)解け、因りて自ら結ぶ - 上君の与(とも)に処るは皆な其の師なり、中は皆な其の友なり、
├― 下は尽々(ことごと)く其の使なり。今皆な先君の臣、故に使うべき無し。
├(02) 魯の季孫、士を好み、終身荘にして、居処衣服は常に朝廷の如し - 君子は泰を去り、甚を去る。
├(03) 孔子、先ず黍(きび)を飯(くら)いて、而る後に桃を啗(くら)う - 君子は賤を以て貴を雪(ぬぐ)う。貴を以て賤を雪うを聞かず。
├(04) 趙簡子、左右に謂いて曰わく - 冠は賤しと雖も、必ず頭に戴(いただ)き、屨(く)は貴しと雖も、足必ずこれを履(ふ)む。
├(05) 費仲、紂に西伯昌(文王)を除くことを説く - 冠は穿弊(せんへい)すと雖も、必ず頭に戴き、履(り)は五采と雖も、必ずこれを地に践(ふ)む。
├(06) 斉宣王と匡倩 - 儒者は以て義を害すと為す。故に為さざるなり。
├10 説四(「経四」についての説話)
├(01) 斉の居士 鉅と魏の居士 孱
├(02) 西門豹と魏文侯 - 往年、臣は君の為めに鄴(ぎょう)を治めしに、而るに君は臣の璽(じ)を奪いたり。
├― 今、臣は左右の為めに鄴を治むるに、而るに君は臣を拝す。臣は治むること能わず。
├(03) 斉に狗盜の子と刖危の子有り、戯れて相い誇る
├(04) 子綽曰わく - 人能く左に方を画きて右に円を画く莫し。肉を以て蟻を去れば、蟻は愈々(いよいよ)多く、魚を以て蠅を駆れば蠅愈々至る。
├(05) 斉桓公と管仲 - 君、左右の請いを聴くこと無かれ。能に因りて禄を受(授)け、功を録して官を与うれば、則ち敢えて官を索むる莫し。
├(06) 韓宣王曰わく - 主、其の情実を審(つまび)らかにせず、坐してこれを患うれば、馬 猶お肥えざるなり。
├(07) 斉桓公と管仲 - 大理 弦商、大行 隰朋、大田 甯武、大司馬 公子成父、諫臣 東郭牙、斉を治むるは、此の五子にして足る。
├― 将に覇王たらんと欲すれば、夷吾(管仲)此(ここ)に在り。
├11 説五(「経五」についての説話)
├(01) 晋の相 盂献伯の倹約 - 爵禄旂章(きしょう)は、功伐を異にして賢不肖を別(わ)かつ所以なり。 (中略)此れ等級を明らかにするなり。
├(02) 孔子、管仲を評す - 泰侈(たいし)にして上に偪(せま)る。
├(03) 孔子、孫叔敖を評す - 其の倹は下に偪(せま)る。
├(04) 陽虎と趙簡主 - 橘柚(きつゆう)を樹(う)うる者は、これを食らえば則ち甘く、これを嗅げば則ち香(かんば)しきも、
├― 枳棘(ききょく)を樹うる者は、成りて人を刺す。故に君子は樹(た)つる所を慎む。
├(05) 晋平公と趙武 - 私讎(ししゅう)は公門に入らず。 (中略)外挙は讎(あだ)を避けず、内挙は子を避けず。
├(06) 晋平公と叔向
├(07) 解狐、其の讎を趙簡主に薦めて、以て相と為す - 汝を私怨するの故を以て、汝を吾が君に擁(ふさ)がず。故に私怨は公門に入らず。
├(08) 鄭の県人、豚を売る - 道遠くして日は暮る。安(な)んぞ汝と語るに暇(いとま)あらん。
├12 説六(「経六」についての説話)
├(01) 范文子とその父 范武子 - 直議する者は人の容るる所と為らず。容るる所無ければ、則ち身を危うくす。 (中略)又た将に父を危うくせんとす。
├(02) 鄭の子産とその父 子国 - 群臣より離るれば、則ち必ず汝の身を危うくせん。 (中略)又た且(まさ)に父を危うくせんとす。
├(03) 鄴の令 梁車、姉を刖刑に処す
└(04) 囚人 管仲と封人 - 子の言の如くんば、我れは且(まさ)に賢をこれ用い、能をこれ使い、労をこれ論ぜんとす。我れ何を以て子に報ぜん。

34 外儲説篇 右上(がいちょぜい) - 説話の儲(たくわ)え 外篇 三*
├01 経一 - 勢の以て化するに足らざれば、則ちこれを除く。
├02 経二 - 人主は利害の軺轂(ようこく)なり。
├03 経三 - 術の行なわれざるは、故(ゆえ)有り。
├04 説一(「経一」についての説話) これを賞しこれを誉むるも勧まず、これを罰しこれを毀るも畏れず。四者焉に加わるも変ぜざれば則ちこれを除け
├(01) 斉景公、晋に之(ゆ)き、平公と師曠宴す - 君、必ず民に恵まんのみ。
├(02) 斉景公と晏子(晏嬰)、少海に游ぶ
├(03) 或るひと曰わく - 斉景公は勢を用うるを知らず、而して師曠、晏子(晏嬰)は患(うれ)いを除くを知らず。
├(04) 子夏曰わく - 春秋の記、臣にして君を殺し、子にして父を殺す者、十を以て数う。皆な一日の積に非ざるなり。
├― (中略)善く勢を持する者は蚤(つと)に姦の萌(きざし)を絶つ。
├(05) 子路、郈の令と為り、私秩(しちつ)の粟を以て漿飯(しょうはん)を為(つく)り、これを飡わし、孔子怒る - 其の愛する所の過ぐるを侵すと曰う。
├(06) 太公望、東海の居士 狂矞・華士兄弟を誅する - 兵革に服せずして顕われ、耕耨を親らせずして名あるは、又国に教うる所以に非ざるなり。
├(07) 如耳と衛嗣公 - 百金の馬有りて一金の鹿無きは、馬は人の用を為すも、鹿は人の用を為さざればなり。
├(08) 魏の相 薛公(田文)と陽胡・陽潘兄弟
├(09) 夫れ烏(からす)を馴(な)らす者は、其の下翎(かれい)を絶つ。
├05 説二(「経二」についての説話)
├(01) 申子曰わく - 上の明見わるれば、人これに備え、其の不明見わるれば、人これを惑わす。 (中略)惟だ無為にして以てこれを規(うかが)う。
├(02) 田子方と唐易鞠 - 鳥は数百の目を以て子を視、子は二目を以てこれを御す。子謹みて子の廩(りん)を周にせよ。
├― (中略)人主は二目を以て一国を視、一国は万目を以て人主を視る。将(は)た何を以て自ら廩を為さんや。
├(03) 国羊、鄭君に重んぜらる
├(04) 韓宣王、説(よろこ)びて太息す
├(05) 斉の相 靖郭君、十玉珥(ぎょくじ)を為(つく)り、其の一を美にしてこれを威王に献ず
├(06) 秦の相 甘茂、恵王に犀首 公孫衍を推挙す
├(07) 堂谿公と韓昭侯 - 聖智有りと雖も、其の術を尽くす莫きは、其の漏らすが為めなり。
├(08) 申子(申不害)曰わく - 独り視る者を明と謂い、独り聴く者を聡と謂い、能く独り断ずる者は、故(すなわ)ち以て天下の王と為るべし。
├06 説三(「経三」についての説話)
├(01) 宋の酒屋の猛犬 - 其の狗を殺さざれば、則ち酒酸なり。 →狗猛酒酸
├― 斉桓公と管仲 - 社鼠、最も患(うれ)う。
├(02) 堯、天下を舜に伝えんと欲す - 孔子曰わく、其の疑う所を以て其の察する所を敗らざるは、則ち難きなり。
├(03) 楚荘王の太子入朝し、馬蹄、霤(りゅう)を踐(ふ)む - 廷理、其の輈(ちゅう)を斬り、其の御を戮す。
├(04) 衛嗣君と薄疑と家巫 蔡嫗
├(05) 歌を教うる者
├(06) 呉起、妻に組みひもを織らせる - 起の家に虚言無し。
├(07) 晋文公、狐偃の謀に従い、顛頡の脊を仮りる - 親貴を辟けず、法は愛する所にも行なわる。
└(08) 乱臣なる者は必ず重人なり。重人なる者は必ず人主の甚だ親愛する所なり。

35 外儲説篇 右下(がいちょぜい) - 説話の儲(たくわ)え 外篇 四*
├01 経一 - 賞罰共にすれば、則ち禁令行なわれず。
├02 経二 - 治強は法に生じ、弱乱は阿に生ず。 (中略)爵禄は功に生じ、誅罰は罪に生ず。
├03 経三 - 明主は外に鑒(かんが)みるも、而も外事得られずんば成らず。
├04 経四 - 人主とは、法を守り成を責(もと)めて、以て功を立つる者なり。
├05 経五 - 事の理に因れば、則ち労せずして成る。
├06 説一(「経一」についての説話)
├(01) 王良と造父は天下の善く御する者なり - 王良・造父の巧を以てするも、轡を共にして御すれば、馬を使うこと能わず。
├― 人主、安(いずく)んぞ能く其の臣と権を共にして以て治を為さんや。
├(02) 宋の司城子罕と斉の田成恒 - 慶賞賜与は民の喜ぶ所なり。君自らこれを行なえ。殺戮誅罰は民の悪む所なり。臣請う、これに当たらん。
├07 説二(「経二」についての説話)
├(01) 秦昭王、病有り、百姓、里ごとに牛を買いて家ごとに王の為めに禱(いの)る - 法の立たざるは、乱亡の道なり。
├(02) 秦、大いに饑(う)ゆ - 生きて乱るるは、死して治まるに如かず。
├(03) 田鮪と田章 - 而(なんじ)の身を利せんと欲すれば、先ず而の君を利せよ。而の家を富まさんと欲すれば、先ず而の国を富ませ。
├(04) 魯の相 公儀休、魚を嗜(この)む - 夫れ即(も)し魚を受くれば、必ず人に下るの色有らん。人に下るの色有れば、将に法を枉(ま)げんとす。
├08 説三(「経三」についての説話)
├(01) 蘇代、燕の相 子之に益す - 人主の鏡として照らす所以の者は、諸侯の士徒なるに、今、諸侯の士徒は皆な私門の党なり。
├(02) 潘寿、燕の相 子之に益す - 人主の自ら浅娟する所以の者は、巌穴の士徒なるに、今、巌穴の士徒は皆な私門の舍人なり。
├(03) 方吾子曰わく - 古礼、行くに同服者と車を同じくせず、居るに同族者と家を共にせず。
├(04) 呉章と韓宣王 - 人主は佯(いつわ)りて人を憎み愛せず。
├(05) 虎の目と趙平陽君の目
├(06) 衛君、周に入朝す - 諸侯は天子と号を同じくするを得ず。
├― (中略)孔子曰わく、遠きかな、偪(せま)るを禁ずること。虚名すら以て人に借さず、況(いわ)んや実事をや。
├09 説四(「経四」についての説話)
├(01) 木を揺るがす者は、一一其の葉を摂(と)れば、則ち労して遍(あまね)からず。左右に其の本を拊(う)てば、而(すなわ)ち葉は遍く揺る。
├― 吏は民の本綱なる者なり。故に聖人は吏を治めて民を治めず。
├(02) 造父、父子を援(たす)けて乗らしむ - 国は君の車なり。勢は君の馬なり。術以て御する無ければ、身は労すと雖も、猶お乱より免れず。
├(03) 金槌と矯め木 - 聖人の法を為(つく)るや、夷ならざるを平らかにし、直ならざるを矯むる所以なり。
├(04) 淖歯の斉を用(おさ)むるや、閔王の筋を擢(ぬ)き、李兌の趙を用むるや主父を餓殺す
├― 人主なる者、術を操(と)らざれば、則ち威勢軽くして臣は名を擅(もっぱ・専)らにす。
├(05) 斉の相 田嬰(靖郭君)、王に計を聴かしむ
├10 説五(「経五」についての説話)
├(01) 茲鄭子、輦(れん)を引きて高梁に上る
├(02) 趙簡主と薄疑 - 君の国中飽く。 (中略)府庫は上に空虚、百姓は下に貧餓、然り而して姦吏(かんり)富む。
├(03) 斉桓公と管仲 - 畜積(ちくし)に腐棄(ふき)の財有れば、則ち人飢餓し、宮中に怨女(えんじょ)有れば、則ち民に妻無し。
├― (中略)丈夫は二十にして室あり、婦人は十五にして嫁せよ。
└(04) 延陵の卓子、蒼龍・翟文の乗に乗る - 賞はこれを勧むる所以なるに、而も毀(そし)り存し、罰はこれを禁ずる所以なるに、而も誉れ加わる。

36 難一篇(なんいつ) - 非難 其の一* (非難・論難の意で、まず一般に善しとされる説話をあげ、次に「或るひと曰わく」として、それを論駁する)
├01 晋文公と舅犯、雍季 - 孔子曰わく、文公の覇たるや、宜(うべ)なるかな。既に一時の権を知り、又万世の利を知る。
├― 或るひと曰わく - 雍季の対えは、文公の問いに当たらず。 (中略)且(か)つ文公は舅犯の言を知らず。 (中略)孔子、善賞を知らざるなり。
├02 舜、往きて耕し、往きて漁し、往きて陶す - 孔子曰わく、舜、往きてこれを為せるは、敗を救う所以なり。舜は其れ信(まこと)に仁なるか。
├― 或るひと曰わく - 舜を賢とせば、則ち堯の明察を去り、堯を聖とせば、則ち舜の徳化を去らん。両(ふた)つながら得べからざるなり。
├― 楚人に楯と矛を鬻(ひさ)ぐ者有り - 子の矛を以て、子の楯を陷(とお)さば、何如(いかん)。
├― (中略)夫れ陷すべからざるの楯と、陷さざる無きの矛とは、世を同じくして立つべからず。 →矛盾
├03 管仲、斉桓公に遺言す - 願わくば君、豎刁を去り、易牙を除き、公子開方を遠ざけよ。 (中略)偽を務むるも長からず、虚を蓋うも久しからず。
├― 或るひと曰わく - 管仲も亦た去る所の域に在るなり。 (中略)明主の道は、一人、官を兼ねず、一官、事を兼ねず。
├04 晋の趙襄子、晋陽に囲まれる - 孔子曰わく、善賞なるかな襄子。一人を賞して、天下の人臣為る者、敢えて礼を失う莫し。
├― 或るひと曰わく - 孔子は善賞を知らず。 (中略)明主は、賞は功無きに加えず、罰は罪無きに加えず。
├05 師曠、琴を援(と)りて晋平公を撞(つ)く - 人君為るに楽しむ莫し。惟だ其の言にしてこれに違うもの莫し。
├― 或るひと曰わく - 平公は君道を失い、師曠は臣礼を失う。 (中略)臣、大逆を行なうに、平公喜びてこれを聴く。是れ君道を失うなり。
├06 斉桓公、処士 小臣稷を五たび訪ねる - 万乗の主は、仁義を好まざれば、亦た以て布衣の士に下ること無し。
├― 或るひと曰わく - 桓公は仁義を知らず。 (中略)天下の害を憂え、一国の患(うれ)いに趨(おもむ)き、卑辱を避けざる、これを仁義と謂う。
├07 韓献子 人を斬り、郤献子 謗(そし)りを分かつ
├― 或るひと曰わく - 郤子の言は謗りを分つに非ざるなり。 (中略)罪人を救うは、法の敗るる所以なり。法敗るれば、則ち国乱る。
├08 斉桓公、管仲の束縛を解きて、これを相となす - 管仲 貪(むさぼ)るに非ず、以て治に便するなり。
├― 或るひと曰わく - 是れ管仲、富貴を貪欲するに非ずんば、必ず闇(くら)くして術を知らざるなり。
├09 韓宣王と樛留 - 吾れ公仲、公叔を両用せんと欲す。
├― 或るひと曰わく - 夫れ臣を両用する者、国の憂いならば、則ち是れ桓公は覇たらず、成湯は王たらざりしならん。
└― 術無くして両用すれば、則ち事を争いて外に市し、一用すれば則ち制を専らにして劫弒せん。

37 難二篇(なんじ) - 非難 其の二*
├01 斉景公と晏嬰 - 踴(よう・義足)は貴(たか)くして屨(くつ)は賤(やす)し。
├― 或るひと曰わく - 草茅(そうぼう)を惜しむ者は禾穗(かずい)を耗(へ)らし、盜賊に恵む者は良民を傷(そこ)なう。
├02 斉桓公、酒に酔い冠を遺(わす)る - 公、胡(な)んぞ復た冠を遺れざるか。
├― 或るひと曰わく - 功無きを賞すれば、則ち民は偷幸(とうこう)して上に望み、過ちを誅せざれば、則ち民は懲りずして非を為し易し。
├03 文王、紂に方千里を入れ、炮烙の刑を解かんことを請いて、天下皆な説ぶ - 孔子曰わく、智なるかな文王、千里の地を出して天下の心を得。
├― 或るひと曰わく - 鄭の長者に言有り、道を体して、為す無く見(あら)わす無し。 此れ最も文王に宜し。人をしてこれを疑わしめざるなり。
├04 師曠、叔向の晋平公に対うるを笑う - 君は壤地なり、臣は草木なり。必ず壤地 美にして、然る後に草木 碩大(せきだい)なり。
├― 或るひと曰わく - 凡そ五覇の能く功名を天下に成す所以の者は、必ず君臣俱に力有り。故に曰わく、叔向・師曠の対えは、皆な偏辞なり。
├05 斉桓公と俳優 - 易きかな君為(た)ること。一に仲父と曰い、二にも仲父と曰う。
├― 桓公曰わく、人に君たる者は人を索(もと)むるに労して、人を使うに佚(いつ)なり。
├― 或るひと曰わく - 桓公は闇主なり。 (中略)人主は人を使うと雖も、必ず度量を以てこれに準し、刑名以てこれを参す。
├― 事、法に遇えば則ち行い、法に遇わざれば則ち止め、功、其の言に当たれば則ち賞し、当たらざれば則ち誅す。形名参同
├06 魏の李克(李悝)と苦陘の令 - 君子は窕言(ちょうげん)を聴かず、窕貨(ちょうか)を受けず。
├― 或るひと曰わく - 聴く者は、小人に非ざれば則ち君子なり。小人は義無し、必ずこれを義に度(はか)ること能わず。君子はこれを義に度る。
├07 趙簡子、衛の郛郭を囲む - 亦(た)だ君の不能有るのみ。士に弊(つか)るる者無し。
└― 或るひと曰わく - 長行して上に徇(したが)うは、数百に一ならず。利を喜びて罪を畏るるは、人然らざるは莫し。

38 難三篇(なんさん) - 非難 其の三*
├01 魯穆公と子思と子服厲伯 - 君子は賢を尊びて徳を崇(たか)め、善を挙げて民に観(しめ)す。夫(か)の過行の若きは、是れ細人の識る所なり。
├― 或るひと曰わく - 明君は善を求めてこれを賞し、姦を求めてこれを誅す。其のこれを得るは一なり。
├02 晋文公出亡し、寺人 披これを攻める
├― 或るひと曰わく - 死君 復た生くるとも臣愧(は)じず、而る後に貞と為す。
├03 斉桓公と管仲 - 一難、二難、三難とは、何ぞや。
├― 或るひと曰わく - 物の謂わゆる難きとは、必ず人に借(貸)して勢を成し、而も己れを侵害せしむること勿(な)きは、一難と謂うべきなり。
├04 三公、政を孔子に問う - 葉公:政は近きを説ばせて遠きを来たすに在り。 魯哀公:政は賢を選ぶに在り。 斉景公:政は財を節するに在り。
├― 或るひと曰わく - 孔子の対えは亡国の言なり。 (中略)法敗れて政乱れ、乱政を以て敗民を治む。未だ其の可を見ざるなり。
├― 明君は小姦を微に見る、故に民に大謀無し。小誅を細に行なう、故に大乱無し。
├― 難きを図るは其の易き所に於いてし、大を為すは其の細なる所に於いてす。
├05 鄭の子産、婦人の哭するを聞く
├― 或るひと曰わく - 一雀 羿(げい)を過ぎれば、羿必ずこれを得とは、則ち羿の誣(ふ)なり。天下を以てこれを羅(網)と為せば、則ち雀失われず。
├― 老子曰わく、智を以て国を治むるは、国の賊なり(『老子』65章)、と。其れ子産の謂いなり。
├06 秦昭王、韓・魏を料(はか)る
├― 或るひと曰わく - 申子(申不害)曰わく、これを数に失いてこれを信に求むれば、則ち疑う。 (中略)治は官を踰(こ)えず、知ると雖も言わず。
├07 管子(管仲)曰わく - 其の可を見れば、これを説びて証有り。其の不可を見れば、これを悪(にく)みて形有り。
├― 或るひと曰わく - 好悪、見る所に在れば、臣下の姦物を飾りて以て其の君を愚にするや必せり。
├08 管子(管仲)曰わく - 室に言えば室に満ち、堂に言えば堂に満つ。是れを天下の王と謂う。
└― 或るひと曰わく - 人主の大物は法に非ざれば則ち術なり。 (中略)法は顕なるに如くは莫く、而して術は見わるるを欲せず。

39 難四篇(なんし) - 非難 其の四* (本篇では「或るひと曰わく」が二度ずつ繰り返され、「難三」までと体裁が違う)
├01 衛の孫文子、魯に聘す - 臣にして君に後れず、過ちて悛(あらた)めず。亡びの本なり。
├― 或るひと曰わく - 其の亡ぶ所以は、其の君を得る所以を失えばなり。
├― 或るひと曰わく - 臣主の施(し)は分なり。臣の能く君を奪う者は相い踦(き)するを得るを以てなり。
├02 魯の陽虎、斉に奔り、景公これを礼す
├― 或るひと曰わく - 千金の家は、其の子 不仁なり。 (中略)君明にして厳なれば、則ち群臣は忠に、君懦にして闇なれば、則ち群臣は詐なり。
├― 或るひと曰わく - 諸侯は国を以て親を為す。
├03 鄭昭公と高渠弥 - 高伯 其れ戮と為らんか。悪(にく)みに報ずること已甚(はなは)だし。
├― 或るひと曰わく - 明君は怒りを懸けず。怒りを懸くれば、則ち臣は罪を懼れ、軽挙して以て計を行なわば、則ち人主危うし。
├― 或るひと曰わく - 悪(にく)みに報ずること甚だしとは、大誅もて小罪に報ずるなり。大誅もて小罪に報ずるとは、獄の至りなり。
├04 衛霊公と弥子瑕 - 侏儒、夢に竈(かまど)を見る
├― 或るひと曰わく - 不肖者の主に煬(あた)るは、以て明を害するに足らず。
└― 或るひと曰わく - 賢とする所、必ずしも賢ならず。賢に非ざるに而も賢としてこれを用うるは、愛してこれを用うると、実を同じくす。

[岩波文庫 第四冊]
40 難勢篇(なんせい) - 勢を難ず (慎到の論説をあげ、権勢によって治める勢治の重要性を説く)
├01 慎子(慎到)曰わく - 飛竜雲に乗り、騰蛇(とうだ)霧に遊ぶ。雲罷(や)み霧霽(は)るれば、而(すなわ)ち竜蛇も螾螘(いんぎ)と同じ。
├02 勢は、治に便して乱に利なる者なり。
├― 周書に曰わく - 虎の為めに翼を傅(つく)る毋(な)かれ。将に飛びて邑(ゆう)に入り、人を択(と)りてこれを食らわんとす。 →如虎添翼
└03 世の治者は中に絶えず。吾れ勢を言うを為す所以の者は中なり。 (中略)法を抱き勢に処れば則ち治まり、法に背き勢を去れば則ち乱る。

41 問弁篇(もんべん) - 弁を問う (弁論はどうして起こるのか、その由来を問う)
├01 上、必ず其の言を采(と)りて其の実を責(もと)む。言当たれば則ち大利有り、当たらざれば則ち重罪有り
└― 是を以て愚者は罪を畏れて敢えて言わず、智者も以て訟うること無し。此れ弁無き所以の故なり。

42 問田篇(もんでん) - 田〔鳩〕に問う (無関係の問答二種から成り、篇名にも特別な意味は無い)
├01 徐渠、田鳩に問う - 智士は下を襲(かさ)ねずして君に遇せられ、聖人は功を見(あら)わさずして上に接す。
└02 堂谿公と韓子(韓非) - 法術を立て度数を設くるは、民萌を利して衆庶を便にする所以の道なればなり。

43 定法篇(ていほう) - 法を定む (先にあげた慎到の「勢」に続き、申不害の「術」と、商鞅の「法」を論ずる。法家思想にとって重要な篇)
├01 申不害は術を言いて、公孫鞅(商鞅)は法を為す - 君に術無ければ則ち上に弊(おお・蔽)われ、臣に法無ければ則ち下に乱る。
├― 術とは、任に因りて官を授け、名に循いて実を責(もと)め、殺生の柄を操(と)り、群臣の能を課する者なり。此れ人主の執(と)る所なり。
├― 法とは、憲令を官府に著し、刑罰は民心に必し、賞は法に慎むに存して、罰は令を姦(おか・奸)すに加わる者なり。此れ臣の師とする所なり。
├02 申不害 - 万乗の勁韓に託して十七年、而も覇王に至らざるは、術を上に用うと雖も、法、官に勤飾(きんちょく)せざるの患(うれ)いなり。
├― 公孫鞅 - 強秦の資に乗ずること数十年、而も帝王に至らざるは、法は官に勤飾(きんちょく)すと雖も、主、上に術無きの患(うれ)いなり。
└03 申子は未だ術を尽くさず、商君は未だ法を尽くさず。

44 説疑篇(ぜいぎ) - 疑(まぎ)らわしきを説く (似て非なるまぎらわしい事柄を説き明かし、臣下の任用と待遇について警告する)
├01 有道の主は、仁義を遠ざけ智能を去り、これを服(行)なうに法を以てす。
├― (中略)術なる者は、主の執る所以なり。法なる者は、官の師とする所以なり。
├02 往世の主、人を得て身安く国存する者有り、人を得て身危うく国亡ぶ者有り。人を得るの名は一なるも、利害は相い千万するなり。
├03 不令の民 - 許由、続牙、晋伯陽、秦顛頡、衛僑如、狐不稽、重明、董不識、卞隨、務光、伯夷、叔斉
├― 疾争強諫の臣 - 関龍逢、王子比干、隨の季梁、陳の泄冶、楚の申包胥、呉の伍子胥
├04 朋党比周の臣 - 斉の田恒、宋の子罕、魯の季孫意如、晋の僑如、衛の子南勁、鄭の太宰欣、楚の白公勝、周の単荼、燕の子之
├― 覇王の佐 - 后稷、皋陶、伊尹、周公旦、太公望、管仲、隰朋、百里奚、蹇叔、舅犯、趙衰、范蠡、大夫種、逢同、華登
├05 諂諛の臣 - 周の滑之、鄭の王孫申、陳の公孫寧、儀行父、楚の芋尹申亥、隨の少師、越の種干、呉の王孫雒、晋の陽成泄、豎刁、易牙
├06 内挙には親を避けず、外挙には讎(あだ)を避けず。
├07 乱主は、其の臣の意行を知らずして、これに任ずるに国を以てす。
├08 姦人の爵禄重ければ、而(すなわ)ち党与 弥々(いよいよ)衆(おお)し。又た姦邪の意有れば、則ち姦臣愈々(いよいよ)反ってこれを説ぶ。
├09 趙敬侯と燕君子噲 - 内に君臣百官の乱れ無く、外に諸侯隣国の患(うれ)い無きは、臣に任ずる所以に明らかなればなり。
├10 五姦の臣 - 1.用財貨賂を侈(ほしい)ままにして以て誉を取る者 2.慶賞賜予を務めて以て衆を移す者
├― 3.朋党を務め智を徇(もと)め士を尊びて以て擅逞(せんてい)する者 4.解免を務め罪獄を赦(ゆる)して以て威を事とする者
├― 5.務めて下の直曲を奉じ、怪言偉服瑰称(かいしょう)して以て民の耳目を眩ます者
└― 四擬の者 - 1.孽(げつ)に適に擬するの子 2.配に妻に擬するの妾 3.廷に相に擬するの臣 4.臣に主に擬するの寵

45 詭使篇(きし) - 詭(そむ)き使(おこ)う (詭は背反、使は挙行の意。現実の政治が、法術中心の統治法と大きく食い違うことを痛憤する)
├01 聖人の治道と為す所以の者は三なり。一に曰わく利、二に曰わく威、三に曰わく名。
├02 世の治まらざる所以は、下の罪に非ず、上、其の道を失えばなり。 (中略)下の欲する所は、常に上の治を為す所以と相い詭(そむ)くなり。
├03 上は宜しく其の欲を禁じ、其の跡を滅すべきに而も止めず、又従いてこれを尊ぶ。是れ下に上を乱すことを教えて以て治を為すなり。
├04 名を卑しくし位を危うくする者は、必ず下の法令に従わず、二心私学有りて世に反逆する者なり。
└05 法令を立つるは、以て私を廃するなり。法令行なわれて私道廃す、私は法を乱る所以なり。

46 六反篇(りくはん) - 六つの〔相〕反* (国家にとって害となる六種の民が世間ではほめられ、賞揚されるべき六種の民が非難される矛盾を説く)
├01 姦偽無益の民 - 1.降北の民 2.離法の民 3.牟食の民 4.偽詐の民 5.暴憿の民 6.当死の民
├― 耕戰有益の民 - 1.死節の民 2.全法の民 3.生利の民 4.整穀の民 5.尊上の民 6.明上の民
├02 政を為すは、猶お沐(もく)するがごとし。髮を棄つる有りと雖も、必ずこれを為す。
├― 髮を棄つるの費(つい)えを愛(お)しみて、髮を長ずるの利を忘るるは、権を知らざる者なり。
├03 聖人の治は法禁を審(つまび)らかにす。法禁明著なれば則ち官治まる。
├04 姦は必ず知らるれば則ち備え、必ず誅さるれば則ち止む。知られざれば則ち肆、誅されざれば則ち行なう。
├― 母の子を愛するは父に倍するも、父の令の子に行なわるるは母に十なり。吏の民に於けるは愛無きも、令の民に行なわるるは父に万なり。
├05 法の道為(た)るは、前に苦しみて長く利あり。仁の道為るは、偷(かりそめ)に楽しみて後に窮す。
├06 人の生や、財用足れば則ち力を用うるに隳(おこた)り、上の治の懦(ゆる)めば則ち非を為すに肆(ほしい)ままなり。
├07 老聃(老子)曰わく - 足るを知れば辱しめられず、止まるを知れば殆(あや)うからず。(『老子』44章)
├08 人皆な寐(い)ぬれば則ち盲者も知られず、皆な嘿(もく・黙)すれば則ち喑者(いんしゃ)も知られず。
├― 覚めてこれをして視しめ、問いてこれをして対えしむれば則ち喑盲の者窮す。
└― 明主は其の言を聴けば必ず其の用を責め、其の行を観れば必ず其の功を求む。然らば則ち虚旧の学は談ぜられず、矜誣の行は飾られず。

47 八説篇(はっせつ) - 八つの説* (世間で称賛される八種の人物が、実は国家の利益に反することを説く。また後段の学問批判も興味深い)
├01 八者 - 1.不棄 2.仁人 3.君子 4.有行 5.有俠 6.高傲 7.剛材 8.得民
├― 君子 - 禄を軽んじて身を重んずる、これを君子と謂う。 (中略)君子なれば、民として使い難し。
├― 此の八者は、匹夫の私誉にして、人主の大敗なり。此の八者に反するは、匹夫の私毀にして、人主の公利なり。
├02 人に任ずるに事を以てするは、存亡治乱の機なり。術の以て人に任ずる無ければ、任ずる所として敗れざるは無し。
├― 明君の道は、賤も貴を義(議)するを徳(え・得)、下は必ず上に坐し、誠を決するに参を以てし、聴に門戸無し。
├03 察士にして然る後に能くこれを知るは、以て令と為すべからず。 (中略)賢者にして然る後に能くこれを行なうは、以て法と為すべからず。
├― 孔子と墨子 - 博習弁智は孔・墨の如きも、孔・墨は耕耨(こうどう)せず。則ち国に何の得あらん。
├― 曾参と史鰌 - 孝を脩め欲寡(すく)なきこと曾・史の如きも、曾・史は戦攻せず、則ち国に何の利あらん。
├― 匹夫に私便有り、人主に公利有り。作(な)さずして養足り、仕えずして名顕(あら)わるるは、此れ私便なり。
├― 文学を息(や)めて法度を明らかにし、私便を塞ぎて功労を一にするは、此れ公利なり。
├― 文学を貴びて以て法を疑わしめ、行脩を尊びて以て功を弐(じ)せしむ。国の富強を索(もと)むるも、得べからざるなり。
├04 搢笏(しんこつ)干戚(かんせき)は、酋矛(しゅうぼう)鉄銛(てっせん)に適(敵)せず。
├― 古人は徳に亟(つと・急)め、中世は智に逐(きそ)い、当今は力に争う。
├― 古者(いにしえ)、人寡(すく)なくして相い親しみ、物多くして利を軽んじて譲り易し。故に揖譲(ゆうじょう)して天下を伝うる者有り。
├― 大争の世に当たりて、揖譲の軌に循(したが)うは、聖人の治に非ざるなり。 (中略)聖人は推政を行なわず。
├05 法は事を制する所以、事は功に名づくる所以なり。 (中略)難無きの法、害無きの功は、天下に有ること無し。
├06 慈母の弱子に於けるや、愛は前を為すべからず。然れども弱子に僻行有れば、これをして師に隨わしめ、悪病有れば、これをして医に事えしむ。
├― 仁暴は皆な国を亡ぼす者なり。
├07 書 約なれば而(すなわ)ち弟子弁じ、法 省けば而ち民の訟え簡(なおざり・慢)なり。
├― 是を以て聖人の書は必ず論を著(あきら)かにし、明主の法は必ず事を詳(つまび)らかにす。
├08 人主 親(みずか)ら観聴せずして、制断下に在るは、国に託食する者なり。
├― 虎豹も必ず其の爪牙を用いざれば、而(すなわ)ち鼷鼠(けいそ)と威を同じくす。
└09 明主の国は、貴臣有りて重臣無し。貴臣とは爵尊くして官大なる者なり。重臣とは言聴かれて力多き者なり。

48 八経篇(はちけい) - 八つの経(みち)* (「経」はみちすじ、拠り所の意。君主が注意すべき八つの原則を説く)
├01 因情 - 天下を治むるには必ず人情に因る。人情には好悪有り。故に賞罰用うべし。
├02 主道 - 力は衆に敵せず、智は物を尽くさず。其の一人を用いん与(よ)りは、一国を用うるに如かず。
├03 起乱 - 臣主の異利を知る者は王たり。以て同と為す者は劫(おびや)かされ、与(とも)に事を共にする者は殺さる。
├04 立道 - 参伍の道は、参を行ないて以て多を謀り、伍を揆(はか)りて以て失を責む。
├05 類柄 - 明主、其の務めは周密に在り。 喜び見(あわ)わるれば則ち徳償(つぐな)われ、怒り見わるれば則ち威分かる。
├06 参言 - 聴きて参せざれば、則ち以て下を責むる無く、言に用を督せざれば、則ち邪説は上に当たる。
├07 聴法 - 官の重きは、法 毋(な)ければなり。法の息(や)むは、上 闇ければなり。
├― 爵禄は賞する所以なり。民、賞する所以を重んずれば則ち国治まる。 (中略)罰は禁ずる所以なり。民、禁ずる所以を畏るれば則ち国治まる。
└08 主威(後補の題) - 行義示さるれば、則ち主威分かれ、慈仁聴かるれば、則ち法制毀(やぶ)る。

49 五蠹篇(ごと) - 五つの蠹(むし) (「蠹」は木食い虫のこと。国を乱す五種の害を挙げる。孤憤篇とともに始皇帝が読み感銘したと伝わる)
├01 聖人は脩古を期せず、常可に法(のっと)らず、世の事を論じて、因りてこれが備えを為す。
├― 宋人に田を耕す者有り - 田中に株有り、兔走りて株に触れ、頸を折りて死す。
├― 因りて其の耒(すき)を釈てて株を守り、復た兔を得んことを冀(ねが)う。→守株待兎
├02 古え、力に事(つと)めずして養い足り、人民少なくして財に余り有り。故に民は争わず。
├― (中略)今、人民衆(おお)くして貨財寡(すく)なく、力に事むること労して供養薄し。故に民は争う。
├03 堯と舜 - 古えの天子を譲りし者は、是れ監門の養を去りて臣虜の労を離るるなり。古(ゆえ・故)に天下を伝うるとも多とするに足らざるなり。
├04 除偃王の仁義と子貢の弁智 - 事異なれば則ち備え変ず。上古は道徳を競い、中世は智謀を逐(お)い、当今は気力を争う。
├05 古今は俗を異にし、新故は備えを異にす。
├― 如(も)し寬緩の政を以て急世の民を治めんと欲すれば、猶お轡策(ひさく)無くして駻馬を御するがごとし。此れ知らざるの患(うれ)いなり。
├― 孔子は天下の聖人なり - 海内、其の仁を説(よろこ)び其の義を美とするも、而も為(た)めに服役する者は七十人のみ。
├06 民は固より愛に驕(おご)りて威に聴(したが)う。
├07 人主、賢能の行を説(よろこ)びて、兵弱く地荒るるの禍を忘るれば、則ち私行立ちて公利滅す。
├08 儒は文を以て法を乱り、俠は武を以て禁を犯す。而るに人主兼ねてこれを礼す。此れ乱るる所以なり。
├― 楚人 直躬、其の父 羊を窃みて、これを吏に謁(つ)ぐ - 令尹、以て君に直なれども父に曲なりと為し、執(とら)えてこれを罪す。
├― 魯人、君に従いて戦い、三たび戦いて三たび北(に)ぐ - 曰わく、吾れに老父有り、身死すればこれを養う莫し。 孔子、以て孝と為す。
├09 世の謂わゆる賢とは、貞信の行なり。謂わゆる智とは、微妙の言なり。
├10 今、人主の言に於けるや、其の弁を説(よろこ)びて其の当たるを求めず。其の行に於けるや、其の声を美として其の功を責(もと)めず。
├― 境内の民は皆な治を言い、商・管の法を蔵する者は家ごとにこれ有れども、而も国は愈々貧し。耕を言う者は衆く、耒を執る者寡なければなり。
├― 境内皆な兵を言い、孫・呉の書を蔵する者は家ごとにこれ有れども、而も兵は愈々弱し。戦いを言う者は多く、甲を被る者少なければなり。
├11 従衡の党 - 従とは、衆弱を合して以て一強を攻むるなり。而して衡とは、一強に事えて以て衆弱を攻むるなり。皆な国を持する所以に非ず。
├― 鄙諺(ひげん)に曰わく - 長袖は善く舞い、多銭は善く賈(か)う。長袖善舞多銭善賈
├― 合従連衡の功罪 - 周は従に滅び、衛は衡に亡ぶ。
├12 民の政計、皆な安利に就きて、危窮を辟(さ・避)く。
├13 明王の治国の政は、其の商工游食の民を少(欠)きて名を卑しくし、以て本務を舎(す)てて末作に趨(はし)るを寡(すく)なからしむ。
├14 五蠹(ごと)の民 - 1.学者 2.言談する者 3.帯剣する者 4.患御する者 5.商工の民
└― 人主、此の五蠹の民を除かず、耿介の士を養わざれば、則ち海内、破亡の国、削滅の朝有りと雖も、亦た怪(あや)しむこと勿(な)けん。

50 顕学篇(けんがく) - 顕(あら)われた学 (世にあらわれた学派である儒家と墨家に対しての痛烈な批判を行ない、法治主義を宣揚する)
├01 世の顕学(けんがく)は儒・墨なり。儒の至る所は孔丘(孔子)なり。墨の至る所は墨翟(墨子)なり。
├― 儒家八派 - 1.子張(顓孫師)の儒 2.子思(孔伋)の儒 3.顔氏(顔回?)の儒 4.孟氏(孟子)の儒 5.漆雕氏(漆雕啓)の儒
├― 6.仲良氏(仲梁?)の儒 7.孫氏(荀子・孫卿または公孫尼子?)の儒 8.楽正氏(楽正子春)の儒
├― 墨家三派 - 1.相里氏(相里勤)の墨 2.相夫氏の墨 3.鄧陵氏(鄧陵子)の墨 →『荘子』天下篇
├― 取舍相反して同じからざるに、而も皆な自ら真の孔・墨と謂う。孔・墨は復た生くべからず、将(は)た誰にか世の学を定めしめんや。
├02 墨子の倹を是とすれば、将に孔子の侈(し)を非とせんとするなり。孔子の孝を是とすれば、将に墨子の戻(れい)を非とせんとするなり。
├― 冰炭(ひょうたん)は器を同じくして久しからず、寒暑は時を兼ねて至らず、雑反の学は両立して治まらず。
├03 人と相い若(し)くや、饑饉疾疚(しっきゅう)禍罪の殃(わざわ)い無くして独り以て貧窮する者は、侈(し)に非ざれば則ち墯(だ)なるなり。
├― 今、上、富人に徵斂(ちょうれん)して以て貧家に布施するは、是れ力倹より奪いて侈墯(しだ)に与うるなり。
├04 国平らかなれば則ち儒・俠を養い、難至れば則ち介士を用う。養う所の者は用うる所に非ず、用うる所の者は養う所に非ず。此乱るる所以なり。
├05 孔子、澹台滅明と宰予を見誤る - 容を以て人を取らんか、これを子羽に失せり。言を以て人を取らんか、これを宰予に失せり。
├― 明主の吏は、宰相は必ず州部より起こり、猛将は必ず卒伍より発す。
├06 磐石千里、富むと謂うべからず。象人百万、強しと謂うべからず。
├07 厳家に悍虜(かんりょ)無くして、慈母に敗子有り。
├08 有術の君は、適然の善に隨わずして、必然の道を行なう。
├09 明主は其の助を急にして、其の頌(しょう)を緩(ゆる)くす。故に仁義を道(い)わず。
├― 明主は実事を挙げて、無用を去り、仁義の故(こと)を遣(い)わず、学者の言を聴かず。
├10 民智は猶お嬰児のごとし - 今、上、耕田墾草を急にするは、以て民の産を厚くするなり、而るに上を以て酷と為す。
└― 刑を脩め罰を重くするは、以て邪を禁ぜんが為めなり。而るに上を以て厳と為す。

51 忠孝篇(ちゅうこう) - 忠と孝* (世人の称賛する忠孝が実は平安を乱すもので、法を遵守する者が真の忠臣であると説く)
├01 堯・舜・湯・武は、或いは君臣の義に反し、後世の教えを乱る者なり。
├― 謂わゆる明君なる者は、能く其の臣を畜う者なり。謂わゆる賢臣なる者は、能く法辟を明らかにして官職を治め、以て其の君を戴く者なり。
├― 臣は君に事(つか)え、子は父に事え、妻は夫に事う。三者順なれば則ち天下治まり、三者逆なれば則ち天下乱る。此れ天下の常道なり。
├02 舜、瞽瞍を見て、其の容(かたち) 造(いた・慼)めり - 孔子曰わく、是の時に当たりてや、危うきかな。天下岌岌(きゅうきゅう)たり。
├― (中略)恬淡(てんたん)は無用の教えなり、恍惚(こうこつ)は無法の言なり。
├03 古者(いにしえ)、黔首(きんしゅ)は悗密(ぼんみつ)惷愚(とうぐ)なり。故に虚名を以て取るべきなり。
├― 今、民は儇詗(けんけい)智慧(ちけい)、自ら用いるを欲して上に聴かず。
└04 世人多く国法を言わずして、従横を言う - 三王は離合を務めずして正しく、五覇は従横を待たずして察なり。内を治めて以て外を裁するのみ。

52 人主篇(じんしゅ) - 人の主(あるじ)* (人主すなわち君主としてわきまえるべきことを述べる。重臣の勢力を排除し、法術の士を用いるべしと説く)
├01 人主の身危うく国亡ぶ所以の者は、大臣 太(はなは)だ貴く、左右 太だ威あればなり。
├― 虎豹の能く人に勝ちて百獣を執(とら)うる所以の者は其の爪牙を以てなり。
├02 明主は功を推(お)して爵禄し、能を称(はか)りて官事す。
├― (中略)智者は策を愚人に決せられ、賢士は行を不肖に程(はか)らる。則ち賢智の士、奚れの時にか用いらるるを得ん。而して主明は塞がる。
└03 関龍逢と王子比干と伍子胥 - 死亡の患(うれ)いより免れざる者は、主、賢智の言を察せずして、愚不肖に蔽(おお)わるるの患いなり。

53 飭令篇(ちょくれい) - 令を飭(つつし)む (「飭」はいましめ、整える意。命令を整えて法を立てていけば国家は安泰であると述べる)
├01 令を飭(つつし)めば、則ち法は遷(うつ)らず。法 平らかなれば、則ち吏に姦無し。
├― 国は功を以て官を授け爵を与うれば、則ち治むる者は省かれ、言う者は塞がる。此れを治を以て治を去り、言を以て言を去ると謂う。
└― (中略)刑を行なうに、其の軽き者を重くすれば、軽き者至らず、重き者来たらず。此れを刑を以て刑を去ると謂う。

54 心度篇(しんど) - 心の〔法〕度 (法に従い刑罰を厳しくすることによって、民の心に法度を立てることの重要性を説く)
├01 法とは王の本なり、刑とは愛の自(はじめ・鼻)なり。
└― 聖人の民を治むるや、法は時と与(とも)に移りて、禁は能と与に変わる。

55 制分篇(せいぶん) - 分を制(さだ)む (「分」とは刑と賞との区別。賞罰は功罪と照らし合わせて適切に行なわれなければならないことを述べる)
├01 治乱の理は、宜しく務めて刑賞を分かつを急と為すべし。
├02 蓋里(こうり)相い坐する - 過ちを告ぐる者は罪を免れて賞を受け、姦を失する者は必ず誅されて刑に連なる。此くの如くんば、則ち姦類発かる。
└03 治法の至明なる者は、数(すう)に任じて人に任ぜず。 (中略)有術の国は、言を去りて法に任ず。

※篇名の概略、無印は『韓非子(全四巻)』(韓非/金谷治/岩波文庫)、*印は管理人による
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■韓非子(かんぴし) 20巻55篇
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01 初見秦篇(しょけんしん)
02 存韓篇(そんかん)
03 難言篇(なんげん)
04 愛臣篇(あいしん)
05 主道篇(しゅどう)
06 有度篇(ゆうど)
07 二柄篇(にへい)
08 揚権篇(ようけん)
09 八姦篇(はちかん)
10 十過篇(じゅっか)
11 孤憤篇(こふん)
12 説難篇(ぜいなん)
13 和氏篇(かし)
14 姦劫弑臣篇(かんきょうしいしん)
15 亡徴篇(ぼうちょう)
16 三守篇(さんしゅ)
17 備内篇(びない)
18 南面篇(なんめん)
19 飾邪篇(しょくじゃ)
20 解老篇(かいろう)
21 喩老篇(ゆろう)
22 説林篇 上(ぜいりん)
23 説林篇 下(ぜいりん)
24 観行篇(かんこう)
25 安危篇(あんき)
26 守道篇(しゅどう)
27 用人篇(ようじん)
28 功名篇(こうめい)
29 大体篇(だいたい)
30 内儲説篇 上 七術(ないちょぜい・しちじゅつ)
31 内儲説篇 下 六微(ないちょぜい・りくび)
32 外儲説篇 左上(がいちょぜい)
33 外儲説篇 左下(がいちょぜい)
34 外儲説篇 右上(がいちょぜい)
35 外儲説篇 右下(がいちょぜい)
36 難一篇(なんいつ)
37 難二篇(なんじ)
38 難三篇(なんさん)
39 難四篇(なんし)
40 難勢篇(なんせい)
41 問弁篇(もんべん)
42 問田篇(もんでん)
43 定法篇(ていほう)
44 説疑篇(ぜいぎ)
45 詭使篇(きし)
46 六反篇(りくはん)
47 八説篇(はっせつ)
48 八経篇(はちけい)
49 五蠹篇(ごと)
50 顕学篇(けんがく)
51 忠孝篇(ちゅうこう)
52 人主篇(じんしゅ)
53 飭令篇(ちょくれい)
54 心度篇(しんど)
55 制分篇(せいぶん)

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 ■参考書籍
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 『荀子(上下)』 荀況/金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
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 人間は放任すれば乱れるからその悪である性を矯正し、世の混乱を防ぐために伝統的な教え、
 即ち「礼」を学ぶことが必要であるという。 広く一般に理解できるよう読み下しと口語訳とを収録。
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 『老子 -無知無欲のすすめ-』 老聃/金谷治/講談社芸術文庫 …> [関連書籍] 
 『老子』の思想は、人間は自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬく。
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 匕首一本にすべてを託して敵地に乗り込んだ刺客。権門に寄食し、大事には敢然と恩義に報いる食客。
 波瀾に富む戦国時代を生き抜いた男たちの、奇想天外な発想、意表をつく論理を篤と学ぶべし。
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 『中国古典名言事典』 諸橋轍次/講談社学術文庫 …> [関連書籍]
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 どの章句にも古典の英知・達人の知恵・人間のドラマが宿っており、人生の指針にみちている。
 激動の時代を生きる現代人が座右に置いて、あらゆる機会に再読・三読すべき画期的な辞典である。
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